衆院東京15区補選(4月28日投開票)に出馬している無所属の乙武洋匡氏(48)は22日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、選挙戦で特定の陣営から妨害活動を受け続けていることを踏まえ、「選挙の自由妨害罪」に関する「公職選挙法の改正」を追加公約とする考えを表明した。

乙武氏をめぐっては告示日前後から、別の陣営の候補者や関係者が街頭演説会場に押しかけ、大音響でヤジを飛ばすなどの妨害を受けている。21日夜には、乙武氏の陣営関係者が男に突き飛ばされ、警視庁が暴行容疑で男を現行犯逮捕する事態に発展。乙武氏を支援する小池百合子都知事は定例会見で「命の危険を感じる」と不快感を示した。立憲民主党や日本維新の会など他の陣営でも同様の妨害行為を受けており、東京15区補選は選挙の本質から外れた側面で、大きな問題となっている。

乙武氏はXに「私が立候補している衆議院議員補欠選挙・東京都第15区では、ある特定の候補者とその陣営による悪質な選挙妨害が続いています」として、車ごと突っ込んできたり、大音量で罵詈雑言を長時間に浴びせかけ続けるなどの実態を指摘。スタッフだけでなく、妨害行為を止めようとした聴衆も突き飛ばされて負傷したケースがあるとし「命の危険を感じている」とも主張した。

一方で、警備関係者がいたとしても、現在の公選法では直ちに取り締まれないのが「現実」と指摘。「妨害行為をしているのが『候補者』である場合、公職選挙法のもと逆に保護されてしまっているのが現状です。通常であれば、現行犯で逮捕されてもおかしくない行為が、野放しで行われております」と投稿。自身は先天性四肢欠損で「危害を加える意図で近づいてくる人がいても、自分の力で避けることも、逃げることもできません」と訴えた。

その上で「『候補者とその陣営』であれば、『選挙妨害と暴力』が許されてしまうことになれば、弱い立場の人は立候補することを躊躇し、中には諦めざるを得なくなる人も出てくるはずです。これは即ち民主主義が、暴力に屈することを意味します」と指摘。自身への批判は甘受するとした上で「このまままだと、『候補者』という立場を悪用した、悪質な模倣行為が次々と続く可能性があり、妨害行為や暴力が常態化しかねません」として、公選法第二百二十五条の「選挙の自由妨害罪」にガイドラインを設けるなどの私案を提示した。

「選挙の自由が認められている『候補者』であったとしても、他の候補者とその陣営スタッフの選挙運動に対して、または選挙の演説を聞いている有権者に対して、一定以上の妨害を行ったり、威圧したり暴力をふるった場合、現行犯逮捕を含む適正かつ迅速なる刑法の適用ができるようにします」と訴えた。「まずは『選挙の自由妨害罪』に関する改正が急務」とした上で「私は正々堂々と最後まで戦い抜きます」とも記した。

同補選には、NHKから国民を守る党の新人で弁護士の福永活也氏(43)、参政党の新人で看護師の吉川里奈氏(36)、無所属の元衆院議員、秋元司氏(52)、日本維新の会の新人で元会社員の金沢結衣氏(33=教育無償化を実現する会推薦)、つばさの党の新人で会社経営の根本良輔氏(29)、立憲民主党の新人で元江東区議の酒井菜摘氏(37)、日本保守党の新人で大学客員教授の飯山陽氏(48)、無所属の前参院議員、須藤元気氏(46)も立候補している。