自民党総裁選は4日、投開票され、高市早苗・前経済安保担当相(64)が、小泉進次郎農相(44)との決選投票で勝利し、初の女性総裁となる第29代総裁の座にのぼりつめた。15日にも召集される臨時国会で、日本初の女性首相に選出される見通しだ。総裁選は3度目の挑戦。党員人気に比べて、議員の支持の伸び悩みが伝えられてきたが、党員人気をベースに「国民の声に応える」という総裁選のテーマに重なるような、逆転勝利となった。
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1回目の投票で1位の183票(党員119 議員64)を獲得。議員票は小泉氏、林氏に次ぐ3番手だったが、圧倒的な党員からの支持をバックに、決選投票でも議員票149票、都道府県票36票の185票を獲得した。156票だった小泉氏の議員票145票、都道府県票11票をともに上回る完勝で、初の女性総裁の座を手にした。青のスーツ姿で、勝利の瞬間も表情を緩めず、何度も頭を下げた。
最終演説では「日本を思う気持ちはみんな同じ。それぞれの良さを生かしあいたいと強く思いました。ライバルたちは、固い絆の同士になりました」と、他の4候補の名をあげ、ノーサイドを強調した。
高市氏は出馬会見で、「日本の国力を強くしていきたい。そのため、どこまでも経済成長を求めていく」と主張。国民が苦しむ物価高対策への対応策を、政策の最初に記し、経済政策に力を入れる立ち位置を強調した。今年の参院選で応援に回った際、支援者に「自民党の政策には夢がない」と言われたことが「ショックだった」と、ことあるごとに繰り返した。
安倍晋三元首相を後見人的立場とし、2021年9月、最初の総裁選出馬の際は支援を受けた。安倍氏が翌2022年に銃撃され亡くなり後ろ盾を失い、昨年の総裁選は推薦人集めに苦労する中で2度目の出馬。1度目の投票では9人の候補者中トップの票数で決選投票に進んだが、首相就任後の靖国神社参拝も否定しない高市氏の保守色を嫌った所属議員の票は、石破首相に流れ、あと1歩のところで総裁を逃した。
石破首相に党総務会長のポストを提示され、固辞したとされる。この1年は役職に就かず、地方を回り、苦手という同僚との飲み会にも参加するなどし、次の総裁選に備えて準備を進めてきた。
今回は、保守層だけでなく幅広い層の支持を念頭に、首相就任時の靖国神社参拝継続について明言しなかった。一方で、告示日の立会演説会では、地元の奈良公園のシカに外国人が危害を加えていると発言し、その後根拠を問われ釈明に追われることにもなった。総務相時代、放送法の政治的公平性をめぐる総務省の行政文書について、自身の発言が記された内容を「捏造(ねつぞう)」と強い調子で指摘して物議をかもし、予算委員会で野党に連日追及された。自民党関係者は「国会論戦での不安がある」と述べるなど、今後の発信力には課題を残す。
それでも日本初の女性首相への期待は大きい。高市氏は今回「穏健保守」を自称した。党内では、極右政党出身ながら首相就任後はタカ派的発言を弱め、現実路線にかじを切って存在感を示しているイタリアの女性首相、メローニ氏が高市氏の念頭にあるのではないかとの見方もある。
高市氏は、「鉄の女」といわれた英国の元首相、マーガレット・サッチャー氏を「憧れの人」として挙げているが、3度目の挑戦で得た悲願の総理総裁の座でもあり、発言は現実路線になるのではないかとの「期待」は、少なくない。

