高市早苗首相は27日の衆院予算委員会閉会中審査で、「因縁の質問者」から自身の名前がつけられた仮想通貨(暗号資産)「サナエトークン」に関して質問を受ける場面があった。

前回6月22日の同委員会で、自身の陣営の「中傷動画」疑惑報道をめぐり詳細な質問を予定し、最終的に高市首相が秘書の「陳述書」提出で答弁に代えようとしたため国会が紛糾する発端となった中道改革連合の後藤祐一議員が、「金融市場からの信頼を損ないかねない問題として『サナエトークン』の問題についてまずおうかがいしたい」と切り出した。

後藤氏は「陳述書は出てきたが、1カ月前から通告している質問ばかり。総理自らの言葉でお答えいただきたい」とした上で、前回の質問時、金融庁が3人から被害を訴える相談があったと明かしたことに触れ「少なくとも違法行為があった可能性がありうると指摘させていただいている」と指摘。資金決済法で、暗号資産の売買や媒介を「業」として行う場合、暗号資産交換業の登録が必要で無登録だと罰則が科されることなどに言及しながら、「サナエトークン」を発行したとされる企業側が無登録で暗号資産交換業を行っていた可能性を指摘。金融庁の見解を問うたが、金融庁の担当者は「単にインターネットの情報だけではなく、可能な場合には当該事業者への任意のヒアリングなどを行い実態把握を行っている」と述べるにとどめ、企業側へのヒアリングの有無については触れなかった。

一方、後藤氏は、企業側が公式Xで、「サナエトークン」が発行された今年2月25日に発行の事実を記したとし、さらに、奈良県の自民党青年局の有志が運営する「チームサナエ」の公式Xが、「サナエトークン」の取組に共感するメッセージを、企業側のポストを引用する形でリポストをしているとして、高市首相に事実関係を問うた。

高市首相は、「地元の青年局の有志が中心となって運営するチーム(のXアカウントが)行ったものであるということです」と事実関係を認めた。その上で、「若いメンバーが企業側からの依頼に基づいて行ったもので、文案も企業側から提示されたということでしたが、この中に暗号資産であるといった言葉は出てまいりません」と主張、「先方からは、国民の声を集約するアプリ内でポイントを付与するというアイデア以上の説明は受けておらず、アプリ内のインセンティブであるという認識を疑うこともなく、リポストしてしまった」と説明しつつ、当該企業のプロジェクトのホームページに「本トークンは、高市氏と提携、または承認されているものではないことにご留意願います。高市氏による直接の承認、提携または承認を意味するものではございません」などと記されているとして、「私が承認したものではなく、私の事務所がサナエトークンという名の暗号資産が発行され、取引されるということを承認したものでもなく、それを承知していなかったということであります」と主張した。

後藤氏は、「まあ、少なくとも『チームサナエが日本を変える』というXアカウントで、加担をさせられたかもしれない。少なくとも、リポストしたことは事実だと初めて認めたわけですから、加担させられたかもしれないということでは、極めて重大だと思いますよ」と指摘した。その上で、高市首相の秘書が「サナエトークン」が暗号資産だと知ったのはいつなのかとただすと、高市首相は「企業側に依頼されて、青年局のメンバーがリポストの投稿をした時点で、サナエトークンはアプリ内のインセンティブポイントであるとの認識であり、仮想通貨や暗号資産であるといった説明は一切なく、当然、そうした認識もなかったとのことでございます」と言及。「通告がございましたので、秘書およびリポストした青年局メンバーにも確認を取っております」とした上で、その後、秘書が周りの者から指摘を受け、企業関係者のネット発信を見たところ、サナエトークンが暗号資産として発行されるかのような話が出ていたので、驚いて先方に連絡し、投資を募るようなものではないことをはっきりさせてもらいたいということでした」と訴えた。

前回の衆院予算委で質疑が「消化不良」で終わったこともあってか、後藤氏はかなりの時間をかけて「サナエトークン」について質問したが、自民党席からは「(もう)十分だ」などのヤジも飛び交った。高市首相はその後も「繰り返しになりますが、私自身も、私の事務所も、サナエトークンという名前の暗号資産が発行されて取引されるなどということを承知してもおりませんし、了解もしておりません」と繰り返し主張。自身は、3月2日に秘書官に聞いて初めて知ったと従来の説明を繰り返し、質疑は深まらなかった。