<天皇賞・春>

ジャスティンパレスは消耗戦を避け、瞬発力勝負に持ち込んだ。前半はアフリカンゴールドが1000メートル59秒7で飛び出し、中盤はタイトルホルダーが先頭を奪い返すも後続のマークがきつく同62秒3。このハイペースの中、いかに脚をためられるか。

ライバル視されていたタイトルホルダー、アスクビクターモアは前にいる。ある程度、射程圏にいれておきたいところだが、ルメール騎手はポジションより流れを重視。「速い」と読んで中団でペースを守った。1番枠を生かしてロスなくラチ沿いを通ったのも、しまいに脚を残すためだ。

2周目の向正面で外へ出す判断をしたのも、さすがだ。3000メートル級の長距離戦では、バテて下がってくる馬がいることも想定しておかなくてはならない。レース序盤で充電はできた。手応えもいい。あとはスムーズに加速させるだけ。先行集団の動きを見ながらジワッと接近した。

4コーナーでタイトルホルダーが競走中止するアクシデントはあったが、馬群の外めを走っていた分、何の不利もなく直線へ。ラストは3ハロン連続11秒台(11秒9-11秒5-11秒9)のラップを刻んで後続を突き放した。ルメール騎手の冷静な読みが、ジャスティンパレスにG1制覇をもたらした。

天皇賞・春を制したC・ルメール騎手とジャスティンパレス(撮影・加藤哉)
天皇賞・春を制したC・ルメール騎手とジャスティンパレス(撮影・加藤哉)