エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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父と母のかけ合わせ、いわゆるニックスも血統の世界では重要である。一昔前は芝の大レースを勝つのは、父サンデーサイレンス系、母父ノーザンダンサー系が主流だった。しかし近年芝の路面に機械で穴をあけるエアレーションの影響で、芝が柔らかくなりパワーが必要になってからは、母父ミスタープロスペクター系が台頭してきたと感じる。

ニックスの要点について2点だけ記載しておくと、まず「黄金配合(3×4)」がある。すなわち同じ種牡馬が、父方と母方の3代前と4代前に入っている馬のことを言う。名馬には黄金配合を持つものが数多くいて、例えばデアリングタクトとエフフォーリアも、サンデーサイレンス3×4の黄金配合である。

これと近い配合に、同じ種牡馬が父方と母方の3代前に入る3×3の馬もいるが、血が濃すぎるためか、気性難だったり、体質が弱かったりという馬が多い。中には走る馬もいるし、相性もあるのかもしれないが、出資した馬の成績が良くないので、基本的に避けるようにしている。

ドゥーラの血統表。サンデーサイレンスの3×4の黄金血統
ドゥーラの血統表。サンデーサイレンスの3×4の黄金血統

もう1つは「サンデーサイレンス」の重要性である。有名なディープインパクトの父で、一昔前はこのサンデーサイレンスの直仔が大レースを独占していた時期もあった。その理由だが、日本競馬は近年スピード化しており、勝ち切るためにはラストのスピード能力すなわち瞬発力が必要不可欠と考える。サンデーはこの瞬発力が他の種牡馬より突出している気がする。

少なくとも父方と母方のどこかにサンデーの血が入っていることが重要であり、全くサンデーの血が入っていない馬も、基本的に敬遠するようにしている。

なお短距離戦やダート戦では一般的にスピードよりスタミナが重視されるので、非サンデー系でもいい気もするが、現実的にはこの分野でもサンデー系の活躍が目立つ。今の日本競馬は一般にスローの流れが多く、短距離戦やダート戦でもラストの瞬発力が要求されることが多いからだと考えており、適性が芝1200メートル以下やダート1400メートル以下にありそうな馬以外は、サンデーの血がどこかに入っている募集馬を選ぶようにしている。