世代最初のJRAダート重賞ウイナーは? ユニコーンS(G3、ダート1600メートル、19日=東京)へ向けた最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。「追い斬り激論」は栗東の網孝広記者が外国産馬ジュタロウ(牡、河内)、美浦の木南友輔記者が外国帰りコンバスチョン(牡、伊藤圭)を推した。

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網 円安がすごいね。

木南 海外の競走の賞金を円換算すると、オオッと思いますけどね…、海外に取材に行く記者はお小遣いを減らされた気分。

網 競馬は国内、そして、世界を相手にした夢のあるスポーツ。優秀な血統を日本に持ってきたり、外国で馬を買ってきたりするのは大変だけど、夢がある。

木南 ダートは米国血統に注目、ってとこですね。

網 僕はアロゲート(※1)産駒のジュタロウ。坂路単走で4ハロン52秒8-12秒4。ラチ沿いを登坂していて、力強さと回転の速さが目立った。時計以上の動きだったよ。日曜日(12日)にはCウッドでラスト11秒9。中間はCウッドと坂路でしっかり乗り込まれていて、仕上がりも十分。

河内師 いい状態をキープしている。スピードが持ち味で、前走は時計も良かった。距離はもっと長い方がいいとは思うけど、マイルにも対応できたし、2走前(9着)はローテ的にきつかったのかもしれない。

網 新馬戦が大差勝ち。前走は東京ダート1600メートルで、2番手から4馬身差の圧勝。勝ち時計1分34秒8は、フェブラリーSを除けば今年一番速い数字。武豊騎手も「性格は難しいけど、自分の形になれば強い。できればもまれないように外枠がほしいですね。(前走は)あのペースで行って止まらなかったからね。自分の形なら強い」って。枠次第で大本命候補だよ。

木南 こっちはコンバスチョン。父ディスクリートキャット(※2)も母父パイロもダーレーが繋養(けいよう)する外国産種牡馬でバリバリの米国血統です。追い切りは田辺騎手がまたがってウッドで5ハロン66秒3-ラスト11秒6。1週前にはラスト11秒0の時計を出していて、あらためてスピードがすごい。芝でもいけるんじゃないかって思うくらい。それを考えると、今年のタフな展開だったUAEダービーの大敗も納得かな。

伊藤圭師 前走は輸送も調教も環境への順応もうまくいったと思ったけど、レースはアメリカに近いダートをずっとかぶる形になって、3角で戦意を喪失していた。レース後に確認したら、砂の塊が目に当たって充血していたからね。戻ってきて、いい状態だし、東京は2戦2勝でいい勝ち方をしている舞台ですから。

網 来週は僕の大好きなタイトルホルダーが出てくる宝塚記念。今週はしっかり東西重賞を当てたいね。

木南 行くぞ、凱旋門賞、ブリーダーズC。為替を気にしなくてもいいように旅費を捻出しましょう。

(※1)アロゲート 米国のボブ・バファート厩舎所属で通算11戦7勝。16年トラヴァーズS、BCクラシック、17年ペガサスワールドC、ドバイWCでG1・4連勝を飾り、ロンジンワールドベストレースホースランキングで世界1位。17年秋に種牡馬入りしたが、20年6月に病気のため安楽死処分となった。

(※2)ディスクリートキャット 米国デビューでのちにUAEへ移籍。06年に米G1シガーマイルHを制すなど通算9戦6勝。08年に米国で種牡馬入り。17年から日本で供用されている。