日本馬最多4頭が出走する凱旋門賞(G1、芝2400メートル、パリロンシャン)が10月2日に迫ってきた。G1・3勝タイトルホルダーを送り出す栗田徹調教師(44)が、レース出走のいきさつや意気込みなどを語った。

<一問一答前編>

-宝塚記念のレコード勝利を振り返って

栗田師 いい内容でしたね。いい内容というか、こちらが思う以上の内容でした。ちょっと馬場が渋った方がいいタイプかと思っていましたが、それも一掃してくれました。展開はああいう形(パンサラッサの2番手)でも大丈夫かと思ったんですけど、(横山)和生も自信を持って控えて、ペースづくりをしっかりしてくれました。最後は衰えることなく、という感じだったので、すごく強い内容だったと思います。

-栗田師の想像を超えた走りという認識でいいか

栗田師 馬場が悪い方がいいと思っていた馬ですし、ああいう展開の方がこの馬にはいいとは思っていましたが、時計的にはあそこまでくるとは思っていませんでした。時計勝負にも対応できるんだなと思いました。

-宝塚記念の前にオーナーとは大きく負けなければ凱旋門賞に行こうと話していたと伺っている。最初に凱旋門賞を意識した時期は

栗田師 菊花賞の祝勝会の時に「長距離適性もあるし、行けたらいいね、ゆくゆくは」なんてのを、山田弘オーナーと話していました。ただ、(凱旋門賞という)レースがレースで、まだ1つしかG1を勝っていない状況でした。天皇賞・春でああいう勝ち方(7馬身差V)をしたので、登録だけ一応しておこう、と。

-だいぶ早い時期から凱旋門賞挑戦は頭にあった

栗田師 現実になるとは正直、思っていなかったんですけどね。宝塚記念が終わってから正式に決まりました。

-心のどこかには行きたい気持ちがあった

栗田師 それはまあ。そういう馬に携わっていれば、厩舎もそうですし、海外の大きい舞台というのはみんなが行きたいと思っているはずです。凱旋門賞という雲の上のような…。日本馬が勝っていませんし、招待レースでもありません。オーナーの負担も大きく、生半可な気持ちではリクエストは出せないとは思っていました。

-凱旋門賞の記憶といえば

栗田師 ディープインパクト(06年3位入線→失格)です。ディープインパクトを見ていて、この馬でも負けるんだというのが印象に残っています。それから二ノ宮先生(99年2着エルコンドルパサー、10年2着&11年11着ナカヤマフェスタ)だったり、以前から結構日本馬を積極的に連れて行ったりしていたのに、なかなか手に届いていないという意味では、すごく難しいレースなんだろうなという風に思っています。

-母メーヴェの血統は長距離かつ、欧州血統。そのあたりからも好走を見込んでいる

栗田師 オーナーからもそのようなお話は伺っています。走りもピッチ走法で無駄のない動きをしますし、やっぱり馬場を苦にするタイプではないのかなあ、と。調教では深いウッドでもしっかり動けますからね。

-8月に行ったフランス視察で滞在厩舎が小林智厩舎に決まった

栗田師 小林先生が快く受け入れてくださりました。近くに坂路がある厩舎がいいと思って探していて、小林先生のところも坂路主体で調教をやっているということもありますし、その脇には芝コースがありますからね。調整に関しては鍛えるというより、整える調教、アクセントのないような調教をしたかったので。日本でも坂路主体で乗っていますし、その環境に近い形でと思って探していて、小林先生のところにお願いしました。

-デビューから見てきて、馬自身の成長も想像を超えている

栗田師 精神的にも肉体的にも大人になってきていて、我慢も利くようになりました。本当に成長力がたけているというのかな。若馬のころから見ていたときとは雲泥の差。うまく競馬と休みのサイクルで底上げできていると思います。

-母メーヴェに通じているところはある

栗田師 お母さんは繊細だったイメージがあります。ちょっときゃしゃな感じ。でも、(父の)ドゥラメンテはあるかもしれません。気性の難しさは全体的にはあると思うので。ただ、身体能力としてはすばらしいものがあります。