香港国際競走(11日=シャティン)の枠順が8日、決まった。香港出張中の井上力心(よしきよ)記者「井上 香港EYE22」は、前人未到の香港ヴァーズ3勝目を目指すグローリーヴェイズ(牡7、尾関)の追い切りをチェックした。過去2勝時にも手綱を取ったマジックマン・モレイラ騎手を背に、人馬一体の最終リハを終え、「第2の故郷」でいよいよラストランに臨む。

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あこがれのマジックマン、モレイラ騎手を背にグローリーヴェイズが本馬場に姿を見せた。鞍はまりのいい人馬一体の騎乗スタイルは生で見るとよりいっそう際立って映る。

3戦2勝のシャティン芝ということを馬も理解しているのか。力みのないなめらかな脚さばきで気持ち良さそうに駆ける姿が印象的だった。尾関師も「昨年と同じくらいのラップでとお願いしてイメージ通りでした。直線反応も良かったし、ジョッキーは昨年も素晴らしいと言ってくれたが昨年同様という話をいただいた」と胸を張る。1年ぶりの再会を果たした鞍上もご満悦だった様子。王座防衛へ向け、調整に抜かりはない。

一番輝ける地で現役生活にピリオドを打つ。7歳までキャリアを重ねて19、21年の香港ヴァーズ2勝を含む重賞4勝と長きにわたり厩舎の看板を背負ってきた。師はこれまでの歩みを思い返し「オーナーのご理解もあってここまで大事に使わせていただいて、携わっていただいた方々に、また協力してくれた香港の方々もすごくサポートしてくれて感謝しています」と涙を浮かべ、声を詰まらせながらこう振り絞った。

最終追い切りのリラックスした走りからも、この地が大好きなことは存分に伝わってきた。師も「第2の故郷、それ以上とも言えるところでラストを迎えられることを非常にうれしく光栄です」と喜ぶ。香港ヴァーズ3勝は史上初。この地を愛し、この地に愛されたグローリーヴェイズが最大の栄光を手にする準備は万全とみた。(つづく)

【井上チェック】

ヴァーズでハイペースを刻む強力な先行馬は見当たらず、少頭数でスローに落ち着きそう。最内枠ストーンエイジ、3番枠ウインマリリン、6番枠ブルームなどが先行勢を形成か。4番枠に入ったグローリーヴェイズは、昨年同様に道中はインをロスなく立ち回れそう。尾関師は「ジョッキーも内めがいいと言っていたので結果的に良かったです」とモレイラ騎手の望み通りの好枠を歓迎する。近走はテンに行けないが、徐々にギアを上げ、直線でまとめてのみ込み脚力に衰えはない。よっぽど前が楽をしない限り、グローリーヴェイズの上位食い込みは濃厚だろう。