名手が絶賛だ。暮れの大一番、グランプリ有馬記念(G1、芝2500メートル、25日=中山)に向け14日、東西トレセンで1週前追い切りが行われた。天皇賞・秋でG1初制覇したイクイノックス(牡3、木村)はルメール騎手を背に美浦ウッドで2頭併せ。迫力のある走りで、順調ぶりを示した。タイトルホルダー、エフフォーリアに次ぐファン投票3位。3歳馬の大将格に、周囲の期待もますます高まる。

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べた褒めだ。ルメール騎手の口がなめらかだ。「だんだんペースアップしてくれて、最後も自分のペースで伸びてくれた」「フットワーク、呼吸もよかった。疲れてないね」「前回は休み明け。今回はトップコンディションで走れそう」「体と頭がすごくいい。ボディーシェイプはパーフェクト。イクイノックスが大好きです」。報道陣の輪の中で、とめどなく好感触を表現した。

口だけじゃない。動きが言葉を裏付ける。まだウッドコースに霧がかかる午前7時の朝一番。イクイノックスがいつもの時間に姿を見せた。セントオブゴールド(古馬3勝クラス)を5馬身半追走。鞍上は馬体の弾みに身を任せるだけ。目視できた直線はぐんと加速。7ハロンから96秒0、6ハロン81秒1-12秒0と余裕たっぷりに併入した。1日に帰厩後、7日のウッドでの1本目は6ハロン84秒1-12秒8と脚慣らし程度にとどめた。日曜に坂路を挟み、1週前はきっちりとピッチを上げてきた。

舞台は問わない。中山は皐月賞以来2度目。前回は大外18番枠から促されて先行。直線いったん先頭も、僚馬ジオグリフに差されて2着に終わった。同騎手は「前回はジオグリフにマークされた。イクイノックスはいい競馬をした。乗りやすい馬だし、コーナリングも上手。スタミナもあるし、中山は問題ない。楽しみだね」と太鼓判を押す。昨年は3歳馬エフフォーリアが勝利。今年も3歳馬が、古馬勢にぎゃふんと言わせる。【桑原幹久】