弥生賞ディープインパクト記念(G2、芝2000メートル、5日=中山、3着までに皐月賞の優先出走権)に出走するグリューネグリーン(牡、相沢)が兄に、相沢師にG1勝利の夢を届ける。99年オークス馬ウメノファイバーの血を引く厩舎ゆかりの一族。クラシック切符を手に入れ、現役中に病死した重賞2勝馬の半兄ヴェルデグリーンが果たせなかった夢の続きを追いかける。

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一族の思いを乗せる。相沢師が静かにグリューネグリーンへの期待度を口にした。「まだまだ伸びしろがある。変な競馬はしないと思う。皐月賞で『邪魔だ』と言われないようにも、頑張ってほしい」。京都2歳Sの逃げ切りVですでにクラシック出走には十分な賞金は持っている。ただ、ホープフルS11着で落ちた評価には納得がいっていない。見初めた素質が確かだという確信があるからだ。

兄の生き写しを見ている。初めて牧場で同馬を見た時、そんな感触が体中を包んだ。G2・2勝の半兄ヴェルデグリーンは6歳時の14年夏、放牧中に腸がんでこの世を去った。師は「生まれ変わりと思ったんだ」と出会いの瞬間を振り返る。99年オークス馬ウメノファイバーの孫。きょうだい全てを管理し、最も結果を出した同じ栗毛の長兄に幼い時期から姿を重ねていた。

見立てに間違いはないことを再び証明する一戦だ。前走は1角でごちゃつき、道中は不本意な中団で運ばされた。「この前はいじめられたもん」。絞り出した一言に逆襲への期待がにじむ。「課題は特にない。ゲートを出れば。追い切った後も順調ですよ」。胸を張って皐月賞へ行くために、積極策で巻き返す。【松田直樹】