悠々、そして堂々と大舞台に挑む。2番人気ヴェントヴォーチェ(牡6、牧浦)が2着に2馬身差をつけ、昨年のキーンランドC以来の重賞2勝目を挙げた。

中団から抜群の手応えでひとまくり。早々先頭で押し切り、勝ち時計は1分7秒4。昨年の春雷Sで、ロードカナロアのコースレコードに0秒1差と迫った地力を見せつけた。次走は高松宮記念(G1、芝1200メートル、26日=中京)で悲願のG1タイトルを目指す。

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「けっこう楽勝でした。どうも、おおきに!」。ルメール騎手のちゃめっ気に、余裕ぶりがにじんだ。ヴェントヴォーチェは中団から3、4角で持ったまま進出。直線は脚色が違い、半ばで抜けた。鞍上がステッキを持ち替え、ガッツポーズの準備をするほどの余力。名手は「全然止まらなかった。ずっと勝つ自信がありました。上のクラスもいけると思います」とG1初制覇へ太鼓判を押した。

今年で6歳も、馬体はみずみずしくパンと張る。3歳夏から約1年の休養があり、牧浦師は「去年くらいから体質がしっかりしてきました」と成長を実感する。今回は昨秋のスプリンターズSから5カ月の休み明け。マイナス4キロと馬体重を減らしたが「昨日輸送後にカイ食いが悪かった分。もう1段上がりそうな雰囲気です」。余裕残しでの快勝なら、先々に期待が膨らむ。

次走は満を持して高松宮記念へ。ただ、当週はコンビ2戦2勝のルメール騎手がドバイ遠征で不在。鞍上は調整となる。それでも、希代のスプリント王に迫る好時計を持つヴェントヴォーチェなら、不安は杞憂(きゆう)に終わりそうだ。【桑原幹久】

◆ヴェントヴォーチェ ▽父 タートルボウル▽母 ランウェイスナップ(ディスタントヴュー)▽牡6▽馬主 エデンアソシエーション▽調教師 牧浦充徳(栗東)▽生産者 下河辺牧場(北海道日高町)▽戦績 14戦7勝▽総収得賞金 1億7748万5000円▽主な勝ち鞍 22年キーンランドC(G3)▽馬名の由来 風の声(伊)