やっと、手が届いた。横山武史騎手(24=鈴木伸)騎乗の2番人気ベラジオオペラ(牡)がデビューから3戦3勝で重賞初制覇。元ジョッキーの上村洋行調教師(49)が開業5年目でうれしい重賞初制覇を果たした。

同馬は前夜の雨で渋った馬場を苦にせず中団から差し切り勝ち。勝ち時計は1分48秒9。2着ホウオウビスケッツ(牡、奥村武)、3着メタルスピード(牡、斎藤誠)を含めた3頭が皐月賞への最終切符をつかんだ。

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でこぼこ道も関係ない。ベラジオオペラが突き抜けた。道中は逃げ馬から10馬身ほど離れた中団。4角手前で渋った馬場を避けて外へ行き、直線でぐいぐいと伸びた。2着ホウオウビスケッツに1馬身1/4差。横山武騎手は左拳を強烈に、何度も握り締めた。「上村先生にはたくさんいい馬の騎乗依頼をいただいているので、初重賞勝利に少しでも貢献できてよかったです」。

元騎手の上村師も初の重賞表彰式を終え、かみしめた。

上村師 正直うれしいですよね。うーん、なかなかもう1歩のところまで来てたんですけどね。それがなかなかとれなくて。この馬で何とか、と思っていた。やっととれたなという感じです

92年に騎手デビュー。サイレンススズカ、ゴールドアリュール、アドマイヤグルーヴの背中を知り、スリープレスナイトでG1制覇。一時は目の病気で失明の恐れを抱えながら通算570勝。14年まで22年間を駆け抜けた。19年に厩舎を開業。重賞はのべ31頭、4度の2着を経て、届いた。

ただ、うれしい悲鳴も上がった。この馬の特徴をつかんでいる横山武騎手は、皐月賞でソールオリエンスに騎乗予定。師は「これから(騎手を)探します。頭が痛いです」と苦笑いも「良馬場ならもっと違いますよ。奥の深い馬。本番も、その先も楽しみです」と自信を見せる。

ストライキの関係で通常より1日早い金曜輸送を強いられたが、土曜に中山競馬場の馬場で調整し、落ち着きを保った。壁を破った人馬。G1の頂まで突き抜ける。【桑原幹久】

◆ベラジオオペラ ▽父 ロードカナロア▽母 エアルーティーン(ハービンジャー)▽牡3▽馬主 林田祥来▽調教師 上村洋行(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 3戦3勝▽総取得賞金 7302万3000円▽馬名の由来 冠名+歌劇