世界を制した監督も、世界と渡り合う大種牡馬に敬意を払った。8日、ノーザンホースパーク(北海道苫小牧市)で行われた「ディープインパクトゲート」のお披露目式に、WBC日本代表前監督の栗山英樹氏がサプライズゲストとして登場した。

12年から21年まで10年間、プロ野球日本ハムの監督としてエンゼルス大谷翔平投手などを育てた名監督。日本ハム時代は折に触れて社台スタリオンステーションを訪れ、ディープインパクトから勇気をもらっていた。栗山氏は「ファイターズでなかなか日本一になれず、何が一番勝つために必要なのかを考えたときに、こんな近くにディープいたか、と。それから毎年来て、それ以来、その年のディープのたてがみを監督室に飾らせてもらいました。人に言うことではないですけど、僕にとっても大きな、意味のある存在でした」と振り返る。日本ハムは16年に日本一に輝いた。くしくもその年にはディープインパクトの子、マカヒキがダービーを制している。

19年に同馬が天へと駆け上がった後も、毎年墓へ手を合わせにいく。強くあれ。そう教えてもらった。「一生懸命生きている姿というのは僕ら人間も学ばせてもらいました。(生前会ったディープインパクトは)僕らが求めているものを理解している。今回の戦いでもそういう選手を選ぶべきだし、そういう腹づもりで自分はいるべきだ、と。そういう意味ではすごく参考にさせてもらいました」。WBCで日の丸を背負って世界と戦っていく中でも、最強馬のたたずまいが選手選択の参考にもなった。

モニュメントは大きな放牧地の前に鎮座する。その奥には青い空と緑の芝。自然の中で馬たちが生命を育んでいる。栗山氏は「向こうで親子の馬が気持ち良さそうに歩いてたりするのを見た時に、『あー、これディープはすごく喜んでるんだろうな』と思いました。僕らもそうですけど、次の世代へ、次の世代へ向かって何かを残していかないといけないのは使命なので。あれだけ強い馬たちを残していく中でも、幸せで楽しくしてもらうのは、すごく喜んでいるのかな、と。こういう形で作っていただいたことで私はそう感じたので、ファンのみなさんもここにきてもらったらすごく喜んでもらえると思います」と笑顔で話した。記憶とともに、新たな時代も見守っていく。

同ゲートの一般公開は9日からとなっている。