横山の名前が東京と函館でとどろいた。横山和生騎手(30)が1番人気ジャスティンカフェ(牡5、安田翔)と初コンビを組み、大外一気を決めた。勝ち時計は1分45秒5。重賞挑戦7度目の同馬に初タイトルをもたらした。

先に発走した函館スプリントSでは弟の横山武史騎手(24)がキミワクイーン(牝4、奥村武)で制した。偶然にも2頭は同じ8枠15番。兄弟騎手同日重賞Vは84年のグレード制導入後、史上2組目となった。

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東でも鞍上は横山だ。ジャスティンカフェを見事重賞初タイトルに導いた。約20分前には函館SSで弟の横山武騎手がキミワクイーンと勝利の美酒を味わっていた。弟の活躍に兄も負けてはいられない。道中は後方で脚をためることに専念。迎えた直線は同馬の末脚を信じて大外へ持ち出した。横山和騎手は「ジャスティンカフェの走りやすいペース、位置取り、そしてリズムを大事にしました。力を見せてくれましたし結果を出せて良かった」。メンバー最速上がり34秒3の脚を引き出し、府中の長い直線で前を一気にのみこんだ。

勝つための努力は惜しまなかった。2日金曜に同馬の背中を実感。「追い切りに乗せてもらっていたので、何の不安もなかった」と話す。陣営も気持ちは同じだった。安田翔師は「金曜に乗ってもらった時に危険なところを1日で見てもらった。その前には併せ馬で横に乗ってもらった。外から見て、そして乗ってという感じです」。実戦では初騎乗。しかし心はすでに通わせていた。勝利のために「チーム・ジャスティンカフェ」になっての参戦だった。

昨年は重賞未勝利でもG1マイルCSに挑戦しコンマ4秒差の6着に健闘。今年はさらに力をつけて結果も出した。師は「まずは夏をうまく過ごしてほしいですね」と語る。7度の挑戦と苦労をした先に視界は一気に広がった。秋はどこへ進むのか。重賞ウイナーとして新たな挑戦が始まる。【舟元祐二】

◆兄弟騎手の同日JRA重賞勝利 グレード制が導入された84年以降、97年3月2日に弥生賞をランニングゲイルで制した武豊騎手、マイラーズCをオースミタイクーンで勝った武幸四郎騎手(現調教師)が最初。横山兄弟は26年ぶりの快挙となった。

◆ジャスティンカフェ ▽父 エピファネイア▽母 カジノブギ(ワークフォース)▽牡5▽馬主 三木正浩▽調教師 安田翔伍(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 15戦5勝▽総収得賞金 1億6376万6000円▽馬名の由来 馬主愛称+カフェ