この強さは本物だ。無敗で南関東2冠を制した大井の1番人気ミックファイア(牡、渡辺和)が直線で差し切り、JRA勢も撃破した。

デビュー6連勝。01年トーシンブリザード以来、22年ぶり史上2頭目の無敗の南関東3冠馬が誕生した。勝ちタイムは2分4秒6。御神本訓史騎手(41)、渡辺和雄調教師(51)ともにジャパンダートダービー初制覇となった。

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ウイニングランに向かうと詰めかけた場内のファンから“ミカモトコール”が沸き起こった。鞍上は「応援していただき、本当に感謝しかありません」。何度も手を突き上げて応えた。

外のミトノオーが逃げ、内からテーオーリカードが切り返して2番手。その外にユティタムが付け、さらには内からオマツリオトコも進出。道中は外の5番手という、これまでに経験のない位置になった。「前の方に付けたかったけど、内と外からプレッシャーがきつかった。思いのほか後ろからになったけど、気持ちを切らさず最後まで走ってくれた」。4角で3番手に上がったが、直線に向いた時点ではミトノオーが独走状態。だが、相手の脚色が鈍った瞬間、一気に捉え切った。「強い競馬で勝ち切ってくれた」。クラシックからコンビを組んだパートナーの力を絶賛した。

来年からJRA馬も含む3歳ダート3冠に生まれ変わり、今年が最後の南関東クラシックだった。その年に大井の生え抜きでは初めての無敗3冠の偉業を成し遂げた。渡辺和師は「この馬にふさわしいレース選択をしてあげたい」。秋の目標に11月3日大井のJBCクラシック(Jpn1、ダート2000メートル)を掲げ、その先には12月3日中京のチャンピオンズC(G1、ダート1800メートル)挑戦も見据えた。【牛山基康】

 

◆無敗の南関東3冠馬 01年に当時3冠だった羽田盃、東京王冠賞、東京ダービーを船橋のトーシンブリザードが史上初の無敗で制覇。ジャパンダートダービーも勝ち、無敗の南関東4冠馬となった。01年を最後に東京王冠賞が休止され、02年から羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートダービーが南関東3冠。それ以降は昨年まで3冠馬は誕生していなかった。

◆ジャパンダートダービー 99年の創設以降、7月に大井ダート2000メートルで行われている。24年から3歳ダート3冠競走が確立され、10月に施行時期を移す。レース名はジャパンダートクラシック(Jpn1)に変更される。

◆ミックファイア▽父 シニスターミニスター▽母 マリアージュ(ブライアンズタイム)▽牡3▽馬主 星加浩一▽調教師 渡辺和雄(大井)▽生産者 高橋ファーム(北海道新ひだか町)▽戦績 6戦6勝▽総収得賞金 1億5250万円▽主な勝ち鞍 23年羽田盃(S1)東京ダービー(S1)▽馬名の由来 人名より+火の玉

 

<キリンジ=2着>藤岡佑騎手 返し馬でコンディションがいいと感じましたし、大井の2000メートルは合うと思っていました。若さがある中で期待以上にいい走りをしてくれました。

<ミトノオー=3着>武豊騎手 ペースは悪くないけど、ちょっと前半力んだのが痛かった。

<ユティタム=4着>川田騎手 リズムのいい競馬ができました。3角から進めなかったのは、中間の暑さの影響があったかもしれないです。

<オーロイプラータ=5着>団野騎手 発馬でつまずいて不完全燃焼ですが、ハイペースにしても脚を使ってくれました。

<ゴライコウ=6着>幸騎手 最後止まってしまったけど手応えは良かった。これからさらに良くなってくれると思います。

<ドラケン=7着>菅原騎手 2000メートルは長いかなと思ったけど、前回より状態を上げて、成長しています。