アイルランドのパディントン(牡3、A・オブライエン、父シユーニ)が断然人気に応え、愛2000ギニー、セントジェームズパレスS、前走エクリプスSに続くG1・4連勝を果たした。鞍上はライアン・ムーアで勝ちタイムは1分47秒16(重馬場)。1馬身半差2着はフランスから参戦したファクトゥールシュヴァル。昨年のジャックルマロワ賞などG1・3勝の実績があり、2番人気に推されていたランフランコ・デットーリ騎乗のインスパイラル(牝4、J&T・ゴスデン、父フランケル)は最下位5着に敗れた。

距離も馬場も問題にせず、雨中の追い比べでパディントンが他馬をねじ伏せた。前走のエクリプスSは初めての古馬との対戦、10ハロンへの距離延長でエミリーアップジョンを負かし、この日はマイルへの距離短縮、重い馬場をモノともしなかった。2歳シーズンは2戦1勝で終えたパディントンだったが、今年はハンデキャップ戦からスタートし、6戦無敗で瞬く間に欧州競馬の主役の1頭となった(通算8戦7勝)。

管理するエイダン・オブライエン調教師は「パディントンはすごくスペシャルな馬です。不良馬場で勝ったことはあったけど、このクラスのレースではなかったので、馬場については心配していました。ライアン(ムーア)がスピードを生かして、追ってくれました。この勝利に貢献してくれた多くの方に感謝しています」と喜び、かつて管理していた名馬ジャイアンツコーズウェイ(00年のサセックスSを制覇)との比較を求める問いには「パディントンの方がずっと速いです」と断言。レース後は馬名と同名で人気のクマの着ぐるみとともに笑顔で写真におさまった。

鞍上のライアン・ムーアもパディントンの走りを絶賛。「言うのは難しいことだけど、彼は過去に騎乗した名馬と同じくらいの馬かもしれません。彼は半端じゃない。1マイル(1600メートル)、10ハロン(2000メートル)、良馬場、重馬場など、すべての条件をこなしてくれた。レースを重ねて成長している馬です。馬場のことを聞かれたら、『彼(パディントン)は雪の上だって走る』と答えることができます」とコメントしている。

「アイアンホース」の異名を持った00年のジャイアンツコーズウェイはセントジェームズパレスS、エクリプスS、サセックスSを制した後、英インターナショナルS、愛チャンピオンSまでG1・5連勝を果たした。パディントンの今後も23日にヨーク競馬場で行われる英インターナショナルS(G1、芝2050メートル)への参戦があるのか、マイル路線を進むのか、さらなる距離延長があるのか、注目が集まる。

◆パディントンの血統 21年のアルカナ社オクトーバーセールで42万ユーロで落札。母の父は凱旋門賞馬モンジュー。祖母ミリオネアは仏オークス2着、3代母ムーンライトダンスがサンタラリ賞覇者、4代母が仏2冠牝馬マデリアという牝系。日本の競走馬ではオークス馬トールポピー、秋華賞馬アヴェンチュラ、昨年のジャパンC覇者ヴェラアズールと同じ一族になる。