夏コク開幕週のメインは小倉記念(G3、芝2000メートル、13日)。デビュー15年目の苦労人、小野寺祐太騎手(33)がモズナガレボシ(牡6、荒川)とのコンビで21年京王杯SC(カタナ=17着)以来2年3カ月ぶりの平地重賞に挑む。昨年5月に美浦から栗東所属となり、今年3月の阪神スプリングJ(J・G2)をジェミニキングで重賞初制覇。今回は平地重賞騎乗で、新たな道を開くか。

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水曜に行われたモズナガレボシの最終追い切り。自ら手綱を取った小野寺騎手は「週を追うごとに動きが良くなっている」と好感触をつかんだ。

モズナガレボシの調教騎乗を依頼されたのは、この中間から。障害戦に出走させるべく障害練習を任された。だが、障害デビューを前に、まずは小倉記念に参戦することになったという。「今週、障害戦に出走する可能性もあったが、僕が他に騎乗する馬がいたので結果的に小倉記念へ出走することになった。それなのに、そのまま乗せてもらえるなんて夢のような話です」と、2年ぶり6回目の平地重賞騎乗を喜ぶ。

そもそもモズナガレボシは2年前の小倉記念覇者だ。当時、騎乗した松山騎手は同期で「いろいろと教えてもらった」と、情報もしっかりインプットしている。

09年に美浦の伊藤正徳厩舎所属でデビューした。同期には松山騎手の他に国分優作、恭介兄弟らがいる。心機一転、栗東所属に変更したのが昨年5月。今年3月にはジェミニキングで阪神スプリングJを勝ち、重賞初制覇を果たすなど新たな道が開けた。「厳しい道のりでしたが、やっと重賞を勝つところまで来た」と15年目でのタイトル獲得を喜んだ。

平地で伸び悩んだ馬が障害を跳ぶことにより復活することもよくある。障害入りした後、92年の宝塚記念と有馬記念を制したメジロパーマーが代表的な例だろう。モズナガレボシも「具合がいいと思う」と鞍上はいう。15回目の夏に巡ってきたビッグチャンスをものにするか。【岡本光男】

◆平地&障害で重賞を制したジョッキー JRAによると牧田和弥、田中剛、※柴田大知、常石勝義、石山繁、※高田潤、高野容輔、岡冨俊一、※熊沢重文の9人。※は現役騎手。障害重賞は障害にグレード制(J・G)が導入された99年以降。