その“フェイス”は夏バテ知らず-。太田尚樹記者の「夏のイチ押し」は、12年目の菱田裕二騎手(30=岡田)だ。北海道で騎乗しないのはデビュー以来初めて。今夏は得意の新潟に活躍の場を求め、今週日曜の新潟2歳S(G3、芝1600メートル、27日)では期待馬エンヤラヴフェイス(牡、森田)で昨年2月以来の重賞タイトルに挑む。たっぷりの睡眠で酷暑対策も万全だ。

うらやましいほどにさわやかな顔つきが、頼もしさを増しつつある。先週に2勝を上積みした菱田騎手は今年32勝。8年ぶりの50勝に到達した昨年以上を狙えるペースだ。12年目の夏は、これまでと違う。主戦場は新潟。春開催8勝でリーディングに輝いた地だ。

「北海道に行かないのはデビューしてから初めて。いろいろ考えて決めました。ありがたいことに(関西だけでなく)関東からもたくさん依頼を頂いてます」

酷暑への対策も万全だ。北海道の夏とは気温が段違い。ぜい肉のない体に、炎天下での騎乗はさぞかしこたえるはずだが…。

「よりよく寝て、栄養や水分をしっかりとっています。レースの合間にも体を冷やしすぎず、冷たすぎるものも飲まないように」

今は夜明け前の3時に起きるが、午後8時に寝て7時間の睡眠を確保する。さらに「眠くなくても昼寝を」と心がけ、可能な限り体力を回復させる。エンゼルス大谷をはじめ、近年のトップアスリートが重視する眠りの力。夏バテ防止にも有効のようだ。

今週はエンヤラヴフェイスと新潟2歳Sへ挑む。初戦は5馬身差圧勝。走破時計1分35秒3は中京芝マイルの今夏2歳戦6鞍で断トツだった。

「新馬戦は最後だけ本気で走った感じでした。身体能力がすごく高くて迫力のある走りをします。乗った感触も前回よりいい。さらにパワーアップした感じ」

よく寝てパッチリ開いた瞳を輝かせていた。

◆菱田裕二(ひしだ・ゆうじ)1992年(平4)9月26日、京都府出身。小学校時代はサッカーJリーグ京都の下部組織に所属。12年3月にデビュー。18年北九州記念(アレスバローズ)でJRA重賞初制覇。同通算463勝(重賞5勝)。160・1センチ、52キロ。