牝馬3冠へ-。5戦4勝の女王リバティアイランド(牝3、中内田)が、秋華賞(G1、芝2000メートル、15日=京都)で史上7頭目の快挙に挑む。連載「3冠の女神へ」では、偉業を狙うリバティアイランド陣営を取材した。

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リバティアイランドの調教を主に担当する片山裕也助手(43)は、その背中から成長を実感する。「今までは短距離馬とみられていたかもしれない。締まった体形で、脚も短い。でもこれが、いい意味で伸びてきた。乗っていて感じるフォルムは首も伸びているし、後ろの胴も伸びている。大人びた雰囲気に見えるかな。僕らは阪神JFくらいから、この馬は中距離だとずっと言い続けてきた。それがより一層という感じだと思います」とパワーアップを語る。

リバティとは「緩急」をキーワードに向き合ってきた。以前に担当したリアアメリアは、素質を評価されながらも大きな結果を残すことはできなかった。

「怒らせない方がいい、穏やかに進めていった方がいいという勘違いの中で調整を進めてしまった。それではアカン、しっかり緩急をつけようと。怒る時はしっかり怒る。褒める時はしっかり褒める。今の結果に結びついている限りは、牡馬と変わらない調整をやっている。試行錯誤の中で、それが今はハマっている感じだと思います」

世話役の松崎助手を「母親」と表現する一方、自身は「嫌われ役。それが自分の仕事」。アメとムチのスタッフ・ワークで、強いリバティを作り上げてきた。

史上7頭目の牝馬3冠へ。「もちろんここにも全力ですが、僕らはまだまだ先を見据えています。引退した時に『あれは通過点であるべき場所だったな』と言えるようなレースをしてほしいですね」。名牝への階段を、ノンストップで駆け上がる。【奥田隼人】