良血馬が後にG1馬9頭を輩出した出世レースを制した。8月の新潟未勝利戦を6馬身差と楽勝した1番人気チェルヴィニア(木村)が好位から直線で抜け出し、2連勝で重賞初勝利を飾った。2着に1馬身3/4差で、勝ち時計1分33秒6はレースレコード。母、半兄ともに重賞馬と血統通りの走りを初重賞の舞台で披露した。

今後は馬の状態を見ながらのローテとなるが、来春のクラシックを視野に入れた。

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厩舎の期待を一身に背負うチェルヴィニアが、府中で羽ばたいた。決して楽な内容ではない。直線を迎えた時は全方位に馬がいた。デビューから手綱を取るルメール騎手は「外に出すまでちょっと我慢しないといけなかった」と振り返る。しかし、他馬の間で進路を確保できてからは全速力を出した。「すごくいい脚を使った。手応えが良かったし、重賞レベル。勝つ自信がありました」。その笑顔には素質馬の実力を引き出した達成感があふれていた。

「お兄さんとともに厩舎を引っ張ってもらいたい」。週中にインタビューに答えた木村師の言葉だ。半兄は今年のダービー5着、新潟記念を制したノッキングポイント。その大きな期待に応えた。師は「新潟のような派手さはなかったけど、(相手が)1段上がったここを勝ち切れたのが何より良かった」と胸をなで下ろす。次走は未定だが「来年の4月にいい状態で持って行けるようにしたいです」とクラシックを意識した。後に9頭のG1馬が誕生した出世レースを勝ち切ったチェルヴィニア。明るい未来が開けた。【舟元祐二】

◆チェルヴィニア ▽父 ハービンジャー▽母 チェッキーノ(キングカメハメハ)▽牝2▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 木村哲也(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 3775万7000円▽馬名の由来 マッターホルン山麓の集落の名より。