リムズコジオスコ(セン6、D・マー)はシンガポール競馬の現役最強馬であり、来年10月に廃止予定となっている同国最後の大物だ。香港スプリントに出走した昨年は最下位14着に敗れたが、今年は地元シンガポールで7戦6勝2着1回(ローカルG1・5勝)と圧倒的な成績を残している。

5月のクランジマイルでは好位追走から直線半ばで持ったまま先頭に立ち、クランジ競馬場の芝1600メートルのレコード(1分32秒81)を樹立。前走は同国最大のレース、シンガポールゴールドカップ(芝2000メートル、ハンデ戦)に出走。大外枠に入り、2番目に重い馬よりも5キロ重い58キロを背負いながら勝ち切った。

2年連続の香港国際競走参戦となり、今年は香港スプリントではなく、香港マイルを選択してきた。レース前日の調整を終え、管理するダン・マー調教師は「(海外遠征で)ルーティンが変わるのはどんな馬にとっても精神的なチャレンジになりますが、リムズコジオスコはうまく対処できていて、日に日に良くなっていますね」と馬の仕上がりに満足している様子だ。

香港ジョッキークラブの公式ニュースによると、マー師は父のジョンがオーストラリアの殿堂入り調教師で、兄弟がクイーンズランド州で調教師を行っているため、シンガポール競馬の廃止後はそこへ合流する可能性が高い。「正直に言って、シンガポール競馬の歴史がなくなってしまうのは本当に悲しいです。シンガポールは馬にとっても、そこで過ごした多くの人々にとっても素晴らしい場所でした。この先、どんなチャンスがやってくるのかわかりませんが、ベストを尽くしたい。リムズコジオスコがいなければ、私はここにいなかったかもしれません」と意気込みを語っている。

まったくの人気薄になりそうだが、絶好の2番枠。主戦のジミー・ウォン騎手が騎乗停止のため、鞍上には日本でもおなじみのダミアン・レーンを起用してきた。おそらく、シンガポール調教馬が挑む最後の香港国際競走、強烈な一発を期待したい。