今週は暮れの大一番、グランプリ第68回有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)が行われる。

かつての栄光を再び-。ライラックの生産者、杵臼牧場(北海道浦河町)は、00年の有馬記念などG1・7勝を挙げた伝説の名馬テイエムオペラオー以来となる生産馬のグランプリ出走に沸いている。鎌田信一代表(74)は「昔はどんぐりの背比べ状態だったが、今は出るだけでも大変な舞台。でも出ないことにはチャンスもないからね。頑張ってほしい」とエールを送る。

宝塚記念では大敗を喫した愛馬だが、2走前は10番人気ながら3着好走。前走エリザベス女王杯では、最速タイの上がりを駆使して4着に入った。好走と凡走の波が激しいタイプだが、この秋2戦は崩れずに走っている。今年から共同代表を務める長男の正信さん(44)は「フェアリーSではスターズオンアース(G1・2勝)に勝っていますからね。スタートさえちゃんと出て、つぼにはまるようなら」と期待を寄せる。

母系は数々の活躍馬を送り出している名門ファミリーで、父は11、13年の有馬記念馬オルフェーヴルという血統。かつて社台コーポレーション白老ファームでの勤務経験がある正信さんは「お産から立ち会いましたが、当歳の時からきつい性格でとにかくやんちゃでした(笑い)。何度も蹴られて痛い思いをしましたが、こんなにいい子を出してくれて何か不思議な縁を感じますね」。ライラックの2歳下のアドミラルシップ(牡2)は11月の京都新馬戦を勝ち上がり、28日のホープフルSに出走予定だ。馬産地日高の名門に、再び、追い風が吹いている。【奥村晶治】