日曜中山メインの3歳重賞、京成杯(G3、芝2000メートル、14日)の追い切りが10日、東西トレセンで行われた。2戦2勝アーバンシック(牡、武井)は美浦ウッドで併せ馬を行い、絶好の手応えで駆け抜けた。馬なりで6ハロン82秒9-11秒6を計時してS評価を得た。新馬、百日草特別に続く無傷3連勝での重賞制覇へ視界は良好だ。

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クラシック候補の名にふさわしい迫力だった。アーバンシックの最終追い切りのパートナーは昨年ダービー3着のハーツコンチェルト(古馬3勝クラス)。2馬身追走でスタートすると、直線は余力十分に馬体を併せ、厩舎の先輩を手応えで圧倒した。ラスト1ハロンは11秒6。見守った武井師が「文句なしですね。しまいはまだまだ余裕があったし、言うことがないです」と手放しで褒める動きだった。

札幌の新馬戦、東京の百日草特別はいずれもゴール前で豪快な差し切り。精神面の幼さを意識しながら、陣営が競馬を教えてきた。「デビュー前は去勢しなければいけないのかな、というくらい子どもっぽかったけど、今は普通に調教ができるとジョッキーも言ってくれた。心身ともに成長を感じています」と武井師。

大物感を裏付けるのがスケール抜群の血統背景だ。3代母は名牝ウインドインハーヘアで祖母の半兄がブラックタイドとディープインパクト。母エッジースタイルの1歳上の全姉ロカはレガレイラの母。血統上は同じスワーヴリチャード産駒で、G1昇格後初のホープフルS牝馬制覇を果たしたレガレイラと100%同じ構成になっている。

過去5年の皐月賞馬は非トライアル組。19年サートゥルナーリア、20年コントレイルがホープフルS、21年エフフォーリア、22年ジオグリフは共同通信杯からの臨戦、昨年ソールオリエンスが京成杯からの直行だった。クラシック初戦にはトライアルを使うのではなく、レース間隔を空けて向かうのが近年のトレンドになっている。「2着ではなく、1着で賞金を加算したいです」と武井師。皐月賞、そして、ダービー出走へ向けた勝負駆けムードだ。【木南友輔】

◆武井厩舎 14年に開業。昨年は開業以来最多のJRA年間32勝をマークし東スポ杯2歳Sではシュトラウスで待望のJRA重賞初制覇を果たした。今週は京成杯にアーバンシック、土曜小倉の愛知杯にアレグロモデラート、日曜京都の日経新春杯にはハーツコンチェルトと3重賞すべてに管理馬を送り込む。