今年最初のJRA・G1フェブラリーS(ダート1600メートル、18日=東京)の「追い切りの番人」では、大阪・岡本光男記者が、初ダートのガイアフォース(牡5、杉山晴)をチェックした。栗東坂路でラスト11秒7をマークした走りは、持ち味のしなやかさだけでなくパワフルさも十分。鞍上に指名された長岡禎仁騎手(30=高橋亮)がダート仕様へと調整している効果が表れ始めている。

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坂路を軽快に駆け上がるガイアフォースのピッチが中間地点を過ぎた途端、一気に速くなった。白い体が素早く収縮し、手脚がしなやかに伸びる。ラスト1ハロン「11秒7」の表示には、調教スタンドから「ほう」と声が上がった。ラストの動きに注目していたという杉山晴師も「思った以上に反応が良かった。調子はいいと思う」と満足げ。これまで以上のパワフルさも伝わってきた。

昨年の安田記念で4着と芝のマイルではトップクラスの力を持っている。だが、あえて「1度試してみたかった」というダート戦に矛先を向けた。

そこで昨年のリーディングトレーナーが頼りにしたのが「調教の名手」と評する長岡騎手だった。「ずっと調教に乗ってもらうということを“込み”で(レース)騎乗を依頼した。アールスターの時も、ケイティブレイブの時もそうだった」。「アールスターの時」は10番人気で快勝した20年小倉記念、「ケイティブレイブの時」は最低16番人気で2着に激走した20年フェブラリーSだ。

正式に騎乗依頼を受けた後、今月3日から調教騎乗を始めた長岡騎手は、師の許可を得て「走りを少し変える」ことにした。自身が小倉でレースに騎乗した日以外は、開催日も含め毎日騎乗。「跳びが大きくきれいな走りをする馬だけど、ダート寄りにするため、かき込みが強く、しっかりパワーが伝わるようにしている」と調整を加えている。

最終追い切りを終えた後には「(走りの修正の)ゴールから逆算してやってきているが、順調にきている」と手応えを口にした。

今年も、早くも9勝を挙げてリーディング首位を行く杉山晴師を、長岡騎手は「観察力に優れた調教師」と評する。そんなトレーナーが仕組んだガイアフォースのダート挑戦と長岡騎手の鞍上起用。激走の可能性を秘めている。【岡本光男】

◆20年フェブラリーS・ケイティブレイブVTR 18年JBCクラシックなどG1(Jpn1含む)を3勝していたが、近走が不振だったため16頭立ての最低人気だった。初コンビの長岡騎手は中団の後ろで待機し、直線で外に持ち出すとぐんぐん加速。モズアスコットに次ぐ2着まで押し上げた。「うまいジョッキーばかりで、馬も強い馬ばかり。思い切ったレースをした」と振り返る。もちろんガイアフォースでは、あの時以上の結果を狙う。