<サウジC>◇24日=キングアブドゥルアジーズ◇G1◇ダート1800メートル◇北半球産4歳上・南半球産3歳上◇出走14頭

ウシュバテソーロ(牡7、高木)と川田将雅騎手(38)のコンビは、頭差の2着惜敗に終わった。ゴール寸前で米国の伏兵セニョールバスカドール(牡6、T・フィンチャー)に差され、昨年のパンサラッサに続く日本調教馬の連覇はならなかった。現地サウジアラビアで取材した木南友輔記者が「キナミの帝王~サウジにふたたび編エピローグ」で、熱戦を回顧する。

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果たして、向正面では先行勢とウシュバテソーロに最大で何メートルの差があったのだろうか。馬の能力を信頼すればこそ、やる気を引き出すための助走を貫いたようにも見える。タフな馬場と先行激化必至のメンバー構成。スタートから続く約800メートルの長い直線からコーナーに入ると、川田騎手とウシュバはインで距離ロスなく運び、1頭、また1頭とかわしながら、コーナーの出口で外へ。「これしかないという完璧なタイミングだったと思う。差したと思ったんですけど…」と高木師は振り返る。

BCクラシック覇者ホワイトアバリオがもがき、レモンポップも後退する展開。抜け出したサウジクラウンを猛然と追い、抜き去った。昨年のドバイワールドCに続き、1着賞金約15億円のサウジC制覇…。その快挙が近づいた瞬間、外からマークするように伸びてきたセニョールバスカドールが勝利をもぎ取った。昨年のBCクラシックは7着に敗れたが、前走ペガサスワールドCで2着。充実期に突入の6歳馬が勝利を挙げたのは「米国勢が層の厚さを見せつけた」ということになるだろうか。

川田騎手は「素晴らしい状態でレース自体も気持ちが向いてくれて、素晴らしい走りをしてくれました。最初のコーナーがいつもと違うので、そろそろだよと伝えながら、前の馬も残っていましたし、外からも来ていたのは分かっていましたが、勝ち切れるよう、彼とともに精いっぱい頑張りました」と話した。

自分が撮った写真を見直すと、パドックに引き揚げてきた川田騎手は悔しさにあふれた表情だが、数十分後の取材時には気持ちを切り替えていたように感じた。次走はドバイワールドC(G1、ダート2000メートル、3月30日=メイダン)。この日のサウジC同様、手に汗握る熱戦を期待したい。

◆サウジC サウジアラビアジョッキークラブが20年に創設した国際競走。今年が第5回。キングアブドゥルアジーズ競馬場で行われるサウジカップデーのメインレースで、施行距離はダート1800メートル。賞金総額2000万ドルを誇る世界最高賞金レースで1着賞金も世界最高の1000万ドル。

◆売り上げ JRAは25日、HPで第5回サウジCの結果を公表した。創設5年目で初めて海外馬券を発売。売り上げは27億5148万5400円だった。