11月に入りそろそろ紅葉シーズン。箱根はどんなものかと旧街道(県道732号)を上って芦ノ湖へ行ってみた。
旧街道は車の通行は少なく、大型車も元箱根行きのバスがたまに通るだけなので走りやすいのだが、いかんせんキツい。序盤の温泉街を抜けるところから直線の心を折らせる上りが延々と続き、発電所のあたりが一番きつく「女転がし坂」というらしい。その昔、この坂で馬に乗った女が馬から落ちて死んだという由来があるようだ。
3・4キロほど上った畑宿の寄木細工の店が軒を連ねるあたりでひと息つけるが、その先は1・2キロ、平均こう配10・1%のヘアピンカーブが続く七曲り。本当に7回かと以前上った時に数えると、実際は11個のカーブがあった。こう配もインは10%どころではなく、20%近いと思われる。
七曲がりが終わったからといって上りも終わるわけではない。見晴らし茶屋から始まる、長い直線の上りの先にある「猿すべり坂」というバス停は、ここが東海道の難所であったことを思い出させる。こちらは「猿といえどもたやすく登り得ず」と新編相模国風土記稿に記されている。甘酒茶屋付近で再び平坦になるが、その先もまだまだ上りは続く。この最後の2キロが意外と遠い。三枚橋からピークまでは11キロ弱。さすがは天下の険。楽しませてくれるよね。
ただピークといっても何があるわけでもない。このヒルクライムのご褒美は芦ノ湖へ向かってのダウンヒルだ。これがあるから何度でもきたくなる。
上るにつれて色づく感じだったが、紅葉はもうちょい先かな。また来なくちゃね。【メディア戦略本部デジタル編集部 石井政己】