日本縦断へ旅立つ日が刻々と近づいているので、それまでに少しでも脚力をつけておきたい。脚力と言えば、峠越え。そこで目をつけたのが、埼玉県の西部にある「奥武蔵グリーンライン」。秩父地方の東側の山岳地帯にある、峠をいくつも越える山岳ロードで、首都圏から近いこともあり、サイクリストやバイクライダーから人気がある。僕も高校生時代、自転車で走った懐かしい記憶がある。脚力強化も兼ねて、久しぶりに行ってみよう。


今回のテーマは峠越え。いくつ越えられるか?
今回のテーマは峠越え。いくつ越えられるか?

国道299号沿い、西武秩父線の吾野駅近くの駐車場に車を停めE-Bikeを降ろした。まずは顔振峠へ向かう。国道を外れた途端、車がパタッといなくなる。民家はなくなり景色は森と道だけになる。道はかなりの急勾配。電動アシストの力があるとはいえ自転車、登りが長く続くときつい。

Y字路を左に入ると「奥武蔵グリーンライン」が始まった。さらに坂を登って行くと、平九郎茶屋が見えてきた。やった。今回最初の峠、顔振峠に到着だ。スマホを取り出し記念撮影。残念ながら視界はあまり良くない。ここの標高は500mここから「奥武蔵グリーンライン」は北西方向へ延びていて、アップダウンと峠越えを繰り返しながら、徐々に標高が上がって行く。ちなみに今回のルートで最も高いのが標高850mの大野峠となる。「奥武蔵グリーンライン」と爽やかな名前だが、実際は道幅は狭く、路面も荒れていて、雰囲気は舗装林道に近い。


ひとつ目の峠となったのが「顔振峠」。文字通り顔を振って登ってきました(笑)
ひとつ目の峠となったのが「顔振峠」。文字通り顔を振って登ってきました(笑)

車が少ないのはサイクリストにとってうれしい限り
車が少ないのはサイクリストにとってうれしい限り

傘杉峠、花立松ノ峠、飯森峠、ぶな峠…山の尾根に沿って一つ一つクリアして行く。峠といいながら、どれも山の小さな出っ張りを越えただけ。それでも峠を越えるというのは気分がいい。しばらく進むと視界が少し開けた場所に出た。広い駐車スペースの一角に「刈場坂峠818m」と記した立て看板があった。視界はあまり良くなかったが、ここは東側が大きく開けていて、遠くに関東平野まで見渡すことができた。景色を眺めながら、高い場所へきたことを実感した。

峠を出ると10分もかからず次の大野峠に到着した。この先にも峠はあるが、ここより低いので基本は下り坂となる。気持ち良く飛ばしていると、堂平天文台へ行くルートとの分岐点となる白石峠に到着。東屋があったので休憩にする。ベンチに腰掛けパンをかじっていると、次々ロードバイクがやって来る。途中でも何台もすれ違っていることからも、ここが人気ルートであることがわかった。東屋の前には駐輪ラックも備え付けられている。ロードバイクに声をかけると「久しぶりに平日休みが取れたので、急きょ走りに来たんですよー、この道、最高に気持ちいいですね~」汗を拭きながら笑った。


「奥武蔵グリーンライン」の中で最も眺めがいいのが刈場坂峠
「奥武蔵グリーンライン」の中で最も眺めがいいのが刈場坂峠

休憩ポイントが少ないのがこのルートの難点。白石峠の東屋でひと休み
休憩ポイントが少ないのがこのルートの難点。白石峠の東屋でひと休み

「奥武蔵グリーンライン」の終点、定峰峠を過ぎるとひたすら下り坂。貯めていた貯金が一気になくなって行く、そんな気分になった。それでもやっぱりダウンヒルは気持ちがいい。しばらく行くとポツポツと民家が現れる。久しぶりに人里に下りてきたことを実感する。峠越えばかりではつまらないので、山の上にある秩父高原牧場へ行ってみることにする。県道を離れると再び登り坂が始まった。ハァハァ… 坂道はやっぱり辛い。今回の目的は脚力強化だぞーと自分に言い聞かせ、ペダルを回す。

到着した「彩の国ふれあい牧場」は名前の通り、羊などと直接触れることができる牧場で、家族連れの子供が嬉しそうに羊たちの背中をなでていた。この牧場、景色が広々としてとても気持ちがいい。今日はあいにくの曇り空だが、晴れていたら最高だろう。牧場なのでソフトクリームでも食べられるかと思ったが、残念ながら定休日。ガックリ…


山の上にある「彩の国ふれあい牧場」。高原の動物たちはどこかのんびりしていた
山の上にある「彩の国ふれあい牧場」。高原の動物たちはどこかのんびりしていた

天空のポピーと呼ばれる場所で季節になると一面がポピーカラーに染まる
天空のポピーと呼ばれる場所で季節になると一面がポピーカラーに染まる

再び坂を下り秩父市の中心へ向かう。国道140号沿いにある「道の駅ちちぶ」でひと休み。ここでは、秩父の郷土料理、豚肉の味噌漬け定食や味噌カツ丼、板そばなどが食べられる「秩父食堂」。さらに味噌ポテトや秩父コロッケが楽しめる「小昼飯本舗」、寄居町の人気ラーメン店「麵処青野」、など、いろんな食が楽しめる。おすすめの道の駅だが、今回はスルーして、先へ進んだ。

国道299号に入ると、車を駐車している吾野へ向かう。時間も遅いのでそのまま帰ろうかと思ったが、少し走り足りないので正丸トンネルが完成する前は国道だった旧道を登り、正丸峠へと向かう。着いた峠には「正丸峠・奥村茶屋」があった。休業中なのかシャッターが下りている。ネットで調べると1941年開業となっている、ということは、高校時代に来た時に立ち寄っていた可能性がある。できれば入って見たかったな。4月29日にリニューアルオープンするようなので、また来てみよう。

正丸峠で本日越えた峠の数は12となった。これだけ走れば脚力も鍛えられただろう…たぶんね。【藤原かんいち】


「道の駅ちちぶ」は秩父に来たらぜひ立ち寄りたい休憩スポット
「道の駅ちちぶ」は秩父に来たらぜひ立ち寄りたい休憩スポット

今回のラスト峠。旧道を登って正丸峠へ向かう
今回のラスト峠。旧道を登って正丸峠へ向かう

正丸峠に到着。12峠も越えたのでさすがに疲れた~
正丸峠に到着。12峠も越えたのでさすがに疲れた~