ロサンゼルス(LA)ではサマータイムが終了して暗くなるのが一気に早まり、夜が長く感じられる季節となりました。そんなこの時期は、美術館に出かけて芸術の秋を楽しみたくなります。LAと言えば映画などエンターテイメントの街というイメージが強いですが、実は魅力的な美術館もたくさんあります。広大な土地があるLAらしいダイナミックな野外アートを楽しめる美術館から大富豪たちが自らのコレクションを展示するために建てた美術館など、LAならではの美術館を紹介します。

ザ・ブロードを訪れたなら、マイケル・ジャクソンとバブルスの彫刻は必見(C)Jeff Koons Douglas M. Parker Studio, Los Angeles
ザ・ブロードを訪れたなら、マイケル・ジャクソンとバブルスの彫刻は必見(C)Jeff Koons Douglas M. Parker Studio, Los Angeles

●ザ・ブロード

 2015年にダウンタウンにオープンした話題の現代美術館。不動産で財を成した大富豪イーライ・ブロード氏の名前を冠にした美術館には、ブロード夫妻が世界中の美術館から集めた個人コレクションが展示されています。アンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェルら人気アーティストの他、村上隆や草間彌生ら日本人アーティストの作品もあります。また、マイケル・ジャクソンがペットのサル、バブルスと一緒に座っている様子を再現したジェフ・クーンズ作の等身大の彫刻は必見です。近くにはウォルト・ディズニー・コンサート・ホールやロサンゼルス現代美術館(MOCA)もあるので合わせて訪れてみるのもおすすめです。

入場無料のゲッティ・センターは、気軽にアートを楽しめる場所としてLA市民に人気の美術館
入場無料のゲッティ・センターは、気軽にアートを楽しめる場所としてLA市民に人気の美術館

●ゲッティ・センター

 観光客にも人気の高いゲッティ・センターは、石油王J・ポール・ゲッティ氏が生前収集した膨大なコレクションを展示するために1997年におよそ10億ドルの費用を投じて建設された美術館です。ウエストLAの北に面した丘の上に佇む白亜の建物が特徴的ですが、美術館に行くには駐車場からトラムに乗って山を登っていかなければなりません。5つのパビリオンがあり、ゴッホやモネ、ミレーなど有名な印象派の絵画から彫刻、宗教画、欧州の古い家具、装飾美術、写真などコレクションは多岐にわたります。著名建築家のリチャード・マイヤー氏による建築や中央の庭園も美しいと評判で、ここから眺めるLAの街並みと太平洋を眺望する景色は最高です。今の時期なら夕暮れのロマンチックな時間帯を過ごすのにぴったりです。

 ちなみにサンタモニカからマリブに向かう途中にも、1974年に開館したゲッティ・ヴィラと呼ばれる別館の美術館があります。こちらはゲッティ・センターが開館した際に一部のコレクションを移管させて改装するためにいったん閉鎖していましたが、2006年に再開館。ローマ式邸宅「パピルス荘」をモデルにした美術館の中には、古代ギリシャやローマ、エトルリアの古代美術を中心に収蔵されています。

ラクマの愛称で親しまれるロサンゼルス郡立美術館の野外アートは見ごたえ充分。
ラクマの愛称で親しまれるロサンゼルス郡立美術館の野外アートは見ごたえ充分。

●ロサンゼルス郡立美術館(LACMA)

 LACMA(ラクマ)の愛称で知られる西海岸最大のコレクションを誇る美術館は、LAでも人気が高い美術館の一つ。広大な敷地の中にはテーマごとにたくさんの展示場があり、ヨーロッパからアメリカ、アフリカ、アジアまで世界各国の美術品10万点が展示されています。ピカソやモネ、セザンヌら日本人にもおなじみの西洋画家の作品も見どころですが、伊藤若冲を中心とする日本画や浮世絵などを展示する日本館もおすすめです。また、街灯を用いたアート「アーバンライト」や巨大な岩を使った芸術作品など野外アートも充実しているのでお天気の良い日は美術館内の公園を散策するのも楽しいですよ。

ラクマの入口横にある野外アート「アーバンライト」は、夜になるとロマンチックな雰囲気に。
ラクマの入口横にある野外アート「アーバンライト」は、夜になるとロマンチックな雰囲気に。

 LAにはその他にも、鉄道王ヘンリー・E・ハンティントン氏の貴重な蔵書や美術品を所蔵するハンティントン・ライブラリーや小規模ながら充実した作品で人気の高いノートン・サイモン美術館などもありますが、他ではあまり見られないとってもユニークな美術館や博物館もまだまだたくさんあります。次回は、LAのちょっと不思議でユニークなミュージアムを紹介したいと思います。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」)