カリフォルニア州では3月19日に新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止令「ステイ・アット・ホーム・オーダー」が発令されてから半年が経ちました。期限なしで発令されたステイ・アット・ホーム・オーダーは現在も継続中で、娯楽施設の閉鎖や大人数で集まるホームパーティーの禁止など依然として様々な規制が設けられています。ロックダウン当初に比べると街中では人も車の交通量も増えてはいますが、コロナ禍以前の生活に戻れるのは早くても来年以降になると言われています。突然のロックダウン状態から半年が経ったロサンゼルス(LA)の生活や現状は今、どうなっているのでしょう。

ハリウッドの観光地にあるリプリーズ・ビリーブ・イット・オア・ノット博物館の屋根に鎮座する恐竜もマスク姿
ハリウッドの観光地にあるリプリーズ・ビリーブ・イット・オア・ノット博物館の屋根に鎮座する恐竜もマスク姿

3月中旬から1か月以上街から人が消え、車の渋滞もなくなっていたLAですが、今はコロナ禍前に比べると少ないものの外食を楽しんだり、買い物や娯楽に出かける人が増えています。とは言っても、パンデミック当初「ホットスポット」と呼ばれる感染震源地だったニューヨークを抜き、今では全米最多の78万5000人を超える感染者が出ているカリフォルニア州では、スポーツ観戦やコンサートなど大型イベントの禁止はもちろん、ディズニーランドなどテーマパークも閉園されたままで、まだまだ行動の制限はたくさんあります。キャンプ場やハイキングコース、ビーチなどは開放されていますが、いずれもマスク着用の上ソーシャルディスタンスを保つことが求められており、友人らで集まってワイワイ過ごすことはまだ難しい状況が続いています。

LAでは映画館は半年間閉鎖されたまま
LAでは映画館は半年間閉鎖されたまま

ダウンタウンも交通量が戻ってきました
ダウンタウンも交通量が戻ってきました

ニューサム知事は先月末に新型コロナウイルスと共存しながら安全に経済を再開させるための新たな計画を発表し、1日の新規感染者数と陽性率の指標に基づいて州内58の郡の感染状況を最高から低レベルまで「紫」「赤」「オレンジ」「黄色」の4色で色分けし、それぞれの色で再開可能なビジネスやガイドラインを明確にしました。比較的感染者数が少ない北部の郡は黄色やオレンジになっていますが、LAを含む南部は広く感染が拡大しているため、10ある郡のうちLA南部のオレンジ郡とサンディエゴ郡を除く8郡は依然として紫にカテゴライズされています。紫では映画館(ドライブインシアターは除く)や美術館、屋内ショッピングモールなどの営業は認められていません。また、ネイルサロンやエステなども屋外のみ営業が可能なため、駐車場などにテントを張って営業する店が多くみられます。スポーツジムも同様に屋内営業が禁止されているため、外にマシンを並べたり、屋外でヨガクラスを行ったりしています。屋外ショッピングモールや小売店は最大25%の収容率で営業が認められており、飲食店はデリバリーとテイクアウトに加え屋外の席でのみ飲食が可能です。一方、非エッセンシャルビジネスは現在も原則としてリモートワークが求められており、学校もオンライン授業が継続しています。

レストランは駐車場など野外に座席を設置して営業しています
レストランは駐車場など野外に座席を設置して営業しています

生活面では突然のロックダウンになった3月は世の中からトイレットペーパーや洗剤、ペーパータオルにティッシュなどあらゆる生活必需品が消え、スーパーマーケットの棚からも冷凍食品や缶詰など保存食だけではく、肉や卵、牛乳など生鮮食品から乾物、米やパン、小麦粉などほぼ全ての食品がなくなる事態となりましたが、パニック買いや買い占めは収まり、流通はほぼ元に戻っています。紙類やアルコール消毒液、小麦粉など一部商品はその後もしばらくは入手困難な状況が続いていましたが、現在はペーパータオルや除菌ワイプ、除菌洗剤やスプレーなど除菌系の商品を除いてはこれまで通り買うことができます。ただ今も掃除用洗剤の棚だけは商品が少ない状態が続いています。調査会社の発表によるとデリバリーやカーブサイド・ピックアップ(オンラインや電話で注文した商品を店頭で受け取る)の売り上げは5月~6月に比べて8月は減少したそうで、人々の生活もパンデミック当初より落ち着きを取り戻していることが実感できます。

スーパーでは今も掃除用洗剤は品薄で、除菌ワイプや除菌洗剤は入手困難な状況が続いています
スーパーでは今も掃除用洗剤は品薄で、除菌ワイプや除菌洗剤は入手困難な状況が続いています

一方で、公共の場でのソーシャルディスタンスやマスク着用は義務化されており、スーパーマーケットも密を避けるために混雑時には依然として入店制限があります。ただ、数カ月前には店内の通路を一方通行にして人がすれ違わないようにするなどの厳格な安全対策を取っていたスーパーも現在は規制を緩めており、禁止されていたエコバッグの持ち込みを認める店も多くなっています。今はある程度、自己責任で他人と距離を取って買い物をする人が多いですが、レジ周辺には立ち位置がマークされているので決められた場所で待機する必要があります。また、当初はゴム手袋にサングラス、帽子など完全防備で買い物に訪れていた人たちも今では以前と変わらぬ様子で買い物をしており、店側も入口で客の手に消毒液を吹きかけたり、カートを消毒する係の人がいない店舗も増えています。

ビバリーヒルズやサンタモニカは公共の場でのマスク不着用は罰金の対象となります
ビバリーヒルズやサンタモニカは公共の場でのマスク不着用は罰金の対象となります

サンタモニカの観光地にはストリートパフォーマーも戻ってきましたが、人通りはまばら
サンタモニカの観光地にはストリートパフォーマーも戻ってきましたが、人通りはまばら

LA郡は今月に入って感染者数は減少傾向にあるものの現在も1日に1000人を超える新規感染者が出ているため、少なくとも今月いっぱいは「レベル紫」を維持する見込みだと言われています。このまま感染者数が落ち着けば10月には収容人数を制限した上で映画館や飲食店などの屋内営業も認められる「レベル赤」に移行できる可能性もありますが、コロナとの共存はまだまだ手探りの状態が続いています。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)