新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンが行われてから300日が経過したロサンゼルス(LA)では昨秋以降第3波が猛威を振るい続けていますが、昨年末から始まったワクチンの供給に遅れが出ていることが指摘されています。LA郡では15日現在、5分に1人が新型コロナによって亡くなっており、集中治療室は満床で助かる見込みの少ない患者の救急搬送を止めるよう通達が出さるなど全米でもっとも危険な地域となっています。今年に入ってからも連日1万5000人前後の新規感染者が報告されており、15日現在の感染者数は累計で98万人を超えています。しかし、郡保険当局はこのほど実際の感染者数はその3倍以上となる300万人超にのぼるとの推計を公表。実に住民の3人に1人が感染した可能性があるという驚くべき数字になっています。そんな中、今週に入ってようやくLAでも全米最大規模のワクチン接種場が相次いでオープンしました。

ドジャースタジアムが15日にワクチン接種場としてオープンしたニュースを伝えるLAタイムズ紙の記事
ドジャースタジアムが15日にワクチン接種場としてオープンしたニュースを伝えるLAタイムズ紙の記事

感染拡大に歯止めがかからないカリフォルニア州では、ワクチン接種の遅れが指摘される中、ニューサム知事が65歳以上の全ての住民を接種対象に拡大すると発表。これを受けて、13日にLA南部オレンジ郡アナハイムにあるディズニーランドが、同郡初の大規模ワクチン接種場としてオープンしました。ディズニーランドは昨年3月中旬のロックダウン以降10カ月に渡って閉鎖されたままですが、「地球上でもっともハッピーな場所」は今、キャラクターたちとの再会を楽しむ人ではなく、ワクチン接種を待ち望んでいた人たちで大混雑しています。ワクチンを接種するにはオンラインでの事前登録が必要で、発表後わずか1夜で1万人以上の住民が登録をしたと伝えられていますが、すでに十数週間先まで予約が取れない状況だといいます。ディズーランドでは1日最大7000人への接種が可能と発表されていますが、初日は3000人ほどが接種を受けたと地元メディアは伝えています。

ディズニーランドがワクチン接種場としてオープンしたニュースを伝える地元ラジオ局のツイート
ディズニーランドがワクチン接種場としてオープンしたニュースを伝える地元ラジオ局のツイート

一方、LAではワクチンの供給量不足から現時点で接種できるのはLA郡が定めた3段階の優先順位のうち最も優先順位が高いフェイズ1Aにあたる医療従事者と老人ホームなど介護施設の入所者に限定されています。フェイズ1Bにカテゴライズされている感染リスクの高い65歳以上の高齢者への接種はまだ実施されていませんが、LAでも接種拡大に向けて新たな大型接種場が6か所オープンしました。その一つが、昨年5月から米国内最大の新型コロナウイルスのPCR検査場として利用されてきたドジャースタジアムで、15日からは新たにワクチンの接種場として開放されています。当局によると、同接種場では1日に最大1万2000人への接種が可能で、これによって現在の3倍の量を供給できるようになるといいます。また、12日には空港近くにあるアリーナ「フォーラム」やテーマパーク「シックス・フラッグス・マジック・マウンテン」もワクチン接種場としてオープンしています。

LAでは現在も市内複数個所で無料で検査を受けることができるほか、民間の有料検査場もたくさんあります
LAでは現在も市内複数個所で無料で検査を受けることができるほか、民間の有料検査場もたくさんあります

LAでは初期の段階から市民に対して症状のあるなしに関わらず無料で何度でも検査が受けられる体制を整え、感染者を早期に発見して隔離することに尽力してきましたが、今後は検査体制を維持しつつも経済再開向けてワクチン接種を加速する取り組みにシフトしていくことなりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)