東京オリンピック(五輪)まで100日を切りましたが、新型コロナウイルスのワクチン接種がなかなか進まない状況を懸念し、「中止すべき」との声がアメリカのメディアからも上がっていますが、そんな日本をよそにここロサンゼルス(LA)では今日15日 から16歳以上の人は誰でもワクチン接種が可能になりました。

LA郡保健当局のHPではワクチン接種が可能な場所を地図上で確認することができ、ドラッグストアなどでも接種が可能
LA郡保健当局のHPではワクチン接種が可能な場所を地図上で確認することができ、ドラッグストアなどでも接種が可能
子供や観光客に人気のショッピングモール内を走る無料の路面電車も復活
子供や観光客に人気のショッピングモール内を走る無料の路面電車も復活

LA在住者ならアメリカ国籍のあるなしや滞在資格に関係なく、希望する人は全員が無料でワクチンを接種することができます。LA郡保健当局のホームページから自宅や職場の近くで接種できる場所を探せるだけでなく、ファイザーかモデルナ製の2種類(ジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンは血栓の報告を受けて現時点で一時停止中)から希望するものを選ぶことも可能で、オンラインで予約ができます。当日は身分証明書と年齢が確認できるもの、そしてLA郡に在住または勤務していることを証明できる郵便物や公共料金の支払いなどの書類を提示すれば、医療保険を持っていなくても無料で接種ができます。接種できる場所もドジャースタジアムなど1日に1万人以上への接種が可能な大型のドライブスルー形式の接種場から街中の薬局まで多岐にわたり、予約済みの人はほとんど待ち時間なくスムーズに接種ができるようになっています。

大勢の人で賑わうショッピングセンター
大勢の人で賑わうショッピングセンター
ショッピングセンターにはマスク着用を促す電光掲示板も
ショッピングセンターにはマスク着用を促す電光掲示板も

カリフォルニア州全体ではすでに少なくとも1回目の接種を終えた人が38%を超えており、新規感染者数や陽性率、入院患者数などが劇的に改善していることから、ニューサム州知事は2か月後の6月15日にコロナ関連の規制をほぼすべて解除する方針を発表。つまり、現在のように娯楽施設の入場者数は25%、球場の収容人数は33%まで、スポーツジムの定員は25%、飲食店の店内飲食は50%以下などといった規制が一切なくなることを意味します。公共の場でのマスク着用は継続することになりますが、今後2か月以内に状況が悪化しない限りはほぼコロナ禍前の日常に戻ることができると期待されています。引き続きPCR検査の実施やワクチン接種の推奨は行われますが、1年以上続いた自粛生活からはようやく解放されそうです。

入店制限のある店舗の前でショーシャルディスタンスを保って並ぶ人の姿を見られるのもあとわずか
入店制限のある店舗の前でショーシャルディスタンスを保って並ぶ人の姿を見られるのもあとわずか

LAではすでに屋外の大リーグ観戦は再開していますが、ようやく屋内でのプロスポーツの観戦も認められ、今日からNBAレイカーズとクリッパーズの本拠地ステープルズ・センターが1年1カ月ぶりに有観客試合を再開します。もちろん、マスク着用の義務化や収容人数の制限はあり、大声での声援や座席での飲食禁止のほか、入場するにはワクチン接種か陰性の証明書の提示が必要となりますが、これでほぼ全ての娯楽施設が再開を果たしたことになります。そんなLAでは今、多くの人がようやく日々の生活の中でコロナ禍前の日常に戻りつつあることを実感しているというのが現状です。

フードコートも再開し、コロナ禍前の生活に近づいてきています
フードコートも再開し、コロナ禍前の生活に近づいてきています

すでに12歳以下の子供へのワクチンの治験も始まり、学校も再開されるなど、コロナ禍前の日常に戻ろうとする大きな力を感じますが、一方で住民のおよそ半数がワクチン接種済みのミシガン州で変異ウイルスによる感染爆発も深刻化しています。同州ではコロナの感染拡大が始まった昨年3月以降で最も深刻な状況に陥っており、医療体制が崩壊寸前だった1年前よりも状況が悪くなっているといいます。ここLAでもワクチン接種が完了した12人がコロナに感染したことが報告されており、経済活動の再開が進む一方でワクチンの効果持続は未知数であるとの声も上がっています。一方で感染したとしても症状は軽く、重症化するリスクは低いとされており、ミシガン州でも重症患者の多くがワクチン接種をしていない低年齢者であるとも言われています。元の生活に戻りつつある中で在宅勤務から会社勤務に戻り、外食や旅行、娯楽を楽しむ人が増える中、まだしばらくは気を抜かずに感染予防を続けることが重要となっています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)