ロサンゼルス郡にあるテーマパークで、7日から入園者に対して新型コロナウイルスのワクチン接種証明書の提示が義務化されました。このところ感染者数は減少しているものの依然としてデルタ株を中心に感染拡大が続く中、ロサンゼルス郡公衆衛生局が1万人以上が参加する大型イベントでのワクチン接種証明書の提示の義務化を決めたことで、同郡内にあるシックス・フラッグス・マジック・マウンテンとユニバーサル・スタジオの2つのテーマパークに対しても義務化する方針となりました。これによって、12歳以上の全ての入園者は、ワクチン接種を完了(2回の接種を終えてから2週間が経過)していることを示す証明書か72時間以内の検査での陰性証明書の提示が求められます。また、屋内外問わず園内では常にマスクを着用することも義務化されています。昨年はハロウィーンと11月下旬の感謝祭の集いなどが原因で感染の再拡大が始まったことから、今年はホリデーシーズンを前に感染対策を強化したい狙いがあります。


ワクチン証明書提示の義務化を告知しているユニバーサル・スタジオの公式サイト
ワクチン証明書提示の義務化を告知しているユニバーサル・スタジオの公式サイト

一方で、ディズニーランドとディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーはロサンゼルス郡ではなく、お隣オレンジ郡の管轄となるため、今回のワクチン義務化の対象には入っていません。ディズニーランドの公式サイトでは、カリフォルニア州の方針としてパークを訪れる人に対してワクチン接種か検査での陰性証明を推奨しているとしているものの、証明書の提示は求めてはいません。また、マスク着用に関しても2歳以上の入園者に対して屋内のアトラクションやモノレールなどの乗り物、ショップ、飲食店の利用時のみ着用を義務化しています。


ワクチン接種か陰性証明は推奨するが義務化はしない方針を示すディズニーランドの公式サイト
ワクチン接種か陰性証明は推奨するが義務化はしない方針を示すディズニーランドの公式サイト

ロサンゼルス市は先週、来月4日から飲食店やショッピングモール、映画館や美術館など娯楽施設、スポーツジムや美容室の利用に際してワクチン接種の証明書の提示を義務化する条例を可決しています。ワクチン未接種者はショッピングモールの利用ができなくなるなど全米の中で最も厳しいとされるワクチンの義務化が始まりますが、食料品や日用品を取り扱うスーパーマーケットなどは対象に含まれていません。また、医学的理由や宗教上の理由から接種ができない場合は毎回検査での陰性証明書の提示が求められることになり、日常生活にも大きな影響が出てきそうです。

カリフォルニア州全体としても12歳以上の全児童と教職員へのワクチン義務化政策を発表するなど厳しい感染対策を講じていますが、逆にフロリダ州ではワクチン接種証明の提示を従業員や客に求めた企業やレストランに最大で5000ドルの罰金を科す反義務化政策を行っています。そんなフロリダ州にあるテーマパーク、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでも、人が密集しないよう大きなパレードを停止し、キャラクターとのグリーティングもソーシャルディスタンスを保って行うなどの感染予防対策は行っていますが、屋内でのマスク着用以外は特にワクチン証明などは求めていません。


フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは屋内でのみマスク着用が義務化されているもののワクチン接種の義務化はありません
フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは屋内でのみマスク着用が義務化されているもののワクチン接種の義務化はありません
ソーシャルディスタンスを保ってキャラクターと接するディズニーファン
ソーシャルディスタンスを保ってキャラクターと接するディズニーファン

現在のアメリカは、ワクチン接種率ですでに日本に抜かれるなど接種の伸び悩みが顕著で、共和党の支持者を中心に義務化に反対する声が強まっています。テキサス州も11日、州内でワクチン接種義務化を禁止する行政命令を出し、民間企業を含めてあらゆる団体による接種義務化を認めない方針を示しています。これから年末にかけてまだまだ気が抜けない状況での反ワクチン政策は、大企業の従業員にワクチンか検査のいずれかを義務付けるよう求めるバイデン大統領の要請にも逆行しており、各企業の今後の対応に注目が集まっています。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)