ロサンゼルス(LA)の治安悪化、特に小売店での略奪や強盗が頻発していることは過去のコラムでお伝えしていますが、高級ブランド店での強盗が相次ぎ、かつて大勢の観光客で賑わったビバリーヒルズの高級ショッピング街がゴーストタウン化していることがSNSで話題になっています。「かつてLAのショッピングの中心として栄えていた場所、今では高級店や銀行、レストランが閉鎖し、荒地になっています。世界中を旅して、かつての偉大な文化の遺跡に立つことができます。(イタリア・ローマンの)コロッセオに行ったり、エジプトでピラミッドを見ることもできます。これらの場所を訪れると、かつてこれを築きあげた文化が、どうしてこれほど素晴らしいものだったのかと思うでしょう。今、カリフォルニアの崩壊した骨を見ることができ、かつて素晴らしかったものが今は破壊されているのを見ることができます。見るが辛いです」とつづり、閉店した有名店をまとめた動画がTikTokに投稿され、ショックを受ける人が続出。過去の繁栄を懐かしむ声が上がっています。

破産したバーニーズニューヨークの建物は今もそのまま借り手がつかない状態で残されています
破産したバーニーズニューヨークの建物は今もそのまま借り手がつかない状態で残されています

ビバリーヒルズと言えば、1990年に公開されたリチャード・ギアとジュリア・ロバーツ主演の映画「プリティ・ウーマン」の舞台にもなった高級ブラン店が軒を連ねる観光名所「ロデオ・ドライブ」や、パパラッチの撮影スポットとして有名だったセレブご用達セレクトショップ「キットソン」やレストラン「アイビー」などがあるショッピング通り「ロバートソン」が有名ですが、現在これらのエリアでは空き店舗が目立ち、以前のような賑わいは見られません。

高級ホテル「ビバリーウィルシャー」のすぐ横にある一等地も空き店舗に
高級ホテル「ビバリーウィルシャー」のすぐ横にある一等地も空き店舗に
かつてブランド店が入っていた建物
かつてブランド店が入っていた建物

動画で紹介されているだけでも、バーニーズニューヨーク、ブルックス・ブラザーズ、エスカーダ、ナイキタウンなどの高級デパートやブランド店から銀行、ドラッグストアのライトエイド、ファストフード店のチポーレ、スターバックスなどがロデオ・ドライブ周辺からなくなっています。また、強盗被害にあったロバートソン沿いのシャネルやトリーバーチ、セレクトショップのインターミックスなど有名店も相次いで閉店し、その多くが新しいテナントが決まらずに空き店舗のままになっています。例えば、2019年に破産したバーニーズニューヨークは、閉店後も建物だけがそのまま残っており、まさに朽ち果てたという言葉がぴったりで、かつての賑わいを知る者としてはやはり物悲しさを感じてしまいます。

ロデオ・ドライブ沿いには「For Lease」のテナント募集の看板が目立ちます
ロデオ・ドライブ沿いには「For Lease」のテナント募集の看板が目立ちます

この動画を取り上げたニューヨーク・ポスト紙によると、昨年の同時期と比べて3%減少したものの8月26日次点でLAでは9455件もの強盗件が報告されているといいい、21年以前と比べると14%以上増えているとのこと。

ビバリーヒルズのゴーストタウン化を伝えるニューヨーク・ポスト紙
ビバリーヒルズのゴーストタウン化を伝えるニューヨーク・ポスト紙

先日はショッピングモールに集団強盗が押しったこともニュースになっていますが、ビバリーヒルズに限らず、LA各地で連日強盗事件が起きており、高級店だけでなく、ドラッグストアでの万引きやリカーストアや飲食店などを狙った強盗なども増加しており、社会問題となっています。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)