2017年の4月末のことだった。ゴールデンウィーク直前に、ようやく暦通りに連休をとれることが確定。さて、どこへ行こう。宿泊予約サイトを眺めるものの、車で行けそうな関西以東にはほとんど空き部屋がない。どこもかしこも満室。観光ブーム、恐るべし。長野県北部や能登半島のペンション、民宿などがなんとか空いていた。後者を即決した。実は、ひそかに狙っていた絶景があった。


 能登半島の東付け根から南へ10キロの内陸に、富山県砺波市がある。全国的な知名度はそう高くない人口5万人弱の都市に、全国有数の観光資源が2つある。まずは散居村。高い木々に守られた農家の周囲に田んぼが広がり、それが何百と連なる。田んぼの海に、いくつもの島が浮かんでいるように見える。もう1つがチューリップ。4月中旬から5月連休まで行われる「となみチューリップフェア」が旅の主目的だった。


チューリップフェアの様子(ご提供:チューリップ四季彩館)
チューリップフェアの様子(ご提供:チューリップ四季彩館)

 赤、白、黄色、どの花見てもきれいだな…どころの話ではない。会場の砺波チューリップ公園内に咲くチューリップは圧巻の700品種、300万本。本場オランダにはこれをはるかにしのぐスケールの公園もあるとはいえ、日本国内ではトップクラスだろう。大正時代に始まったというチューリップ栽培。水田の裏作として盛んに栽培されるようになり、いまや球根出荷量でも砺波市が日本一になっているという。 


チューリップタワーからの眺め(ご提供:チューリップ四季彩館)
チューリップタワーからの眺め(ご提供:チューリップ四季彩館)

 確かにすごいスケールではある。しかし、全国的に話題になってきたのはここ3年のこと。2016年のフェアから始まった企画が注目を集めている。その名も「花の大谷」。高さ3メートルにも及ぶチューリップの壁で両サイドを挟まれる遊歩道だ。


人気を集めている「花の大谷」
人気を集めている「花の大谷」

 富山県の春といえば、立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」が風物詩だ。時に20メートルにもなるという雪の壁は、それ目当てに富山を訪れる人も多いほどだ。「雪の大谷と、チューリップ。この2つを一緒に体験できる立体花壇を作ろうというのが始まりです」とチューリップ四季彩館の嶋田武明氏が振り返ってくれた。


混雑する花の大谷。入るには行列も
混雑する花の大谷。入るには行列も

 2週間かけ、25品種3万本を使ってチューリップの壁を作る。素人には想像もつかないが、配置にも相当気をつかっているのだろう。暖色系のチューリップと新緑がなんとも鮮やかだ。2年目は雪を見立てて白いチューリップだけで壁を作った。3年目は大谷の中に滝を作った。「水のカーテン越しに揺らいで見えるチューリップがとても人気でした」と嶋田氏。年々進化を続けている。 


2018年の大谷には滝も登場(ご提供:チューリップ四季彩館)
2018年の大谷には滝も登場(ご提供:チューリップ四季彩館)

 期間中には約30万人がチューリップ公園を訪れる。特に大谷の人気は群を抜いており、私も入るのに1時間近く並んだ。思わず何枚も写真を撮りたくなる。満足いくまで離れたくない。大谷を見上げる女性たちの目はキラキラしている。白銀の「雪の大谷」も、カラフルな「花の大谷」も、人々をひきつける魅力はともに超A級だ。スポーツ新聞的には「富山の春も、大谷・二刀流!」とか言いたくなるのである。【金子真仁】


「花の大谷」を見るには?

 「となみチューリップフェア」は例年、4月下旬から5月連休まで行われます。砺波には北陸道、東海北陸道のジャンクションがあるため、遠方から車で来場する人も多いようです。大型駐車場にも入場待ちの大渋滞ができるほど。私は少し離れた無料駐車場にあっさり停められました。電車では北陸新幹線・新高岡駅からJR城端線に乗り換え、砺波で下車。駅から1キロほど歩くとチューリップ公園に着きます。


Wonderful View No.75 “Valley of Tulip”

Tonami-shi of Toyama is the best tulip production place in Japan. From the end of April through the beginning of May, a festival is held every year in a tulip park.

Particularly, a promenade called "Valley of Tulip" is popular. It is pleasant to walk between 30,000 three-dimensional Tulip walls.

[DATA]

Address: Hanazonocho, Tonami-shi, Toyama-ken

Access: About five minutes drive from Tonami IC, Hokuriku expressway

Parking: For about 3700 cars