インフルエンザ、新型コロナウイルスなどの流行、食中毒、あるいは能登半島地震では、避難生活が長引くことで健康が脅かされるという不安や心配の声が出ている。ヒトには病気と闘う「免疫」が備わっている。免疫力を高めて元気な生活を維持するにはどうすればよいのか。(医療ライター・しんどうとも)

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侵入した外敵から体を守る「免疫力」。誰もが備え持っているこの力を元気にする食生活を紹介します。

東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士である赤石定典さんは、患者の栄養管理のスペシャリストだ。「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」(出版文化社)や「慈恵大学病院の食べる『免疫力』」(世界文化社)など出版物の監修に携わるほか、テレビ出演などを通して一般に広く情報を発信している。

そもそも「免疫力」とは何か。

「免疫力とは文字通り“疫を免(のが)れるちから”です。ヒトにはウイルスや病原菌などが体内に侵入すると、体の免疫システムがはたらくという防御システムが備わっています。健康のためには体の内側からこの免疫力を高めて、疲労や外敵に負けないからだづくりが大切です」(赤石さん)。

新型コロナウイルスやインフルエンザの感染にも免疫力がカギを握っている。

「新型コロナウイルスが完全に収束する見通しは立っておらず、感染しないためにも自身の免疫力を高めることは有効だといえます。風邪を例にとると、なんらかの原因により免疫力が下がって風邪をひくと食欲が落ち、嚥下(えんげ)機能が低下して歩行も困難となり、高齢者では寝たきりになるリスクが高まってしまいます」(赤石さん)。

いまは季節性インフルエンザの流行期。高齢者ほどそのダメージは深刻で、場合によっては命にかかわる。

「免疫力がきちんとはたらいてくれれば、本来、私たちが備え持っている力がウイルスや細菌と闘って、そうした脅威から身を守ってくれるというわけです」(赤石さん)