異例の形で本来の開幕日を迎えた。ここからは同じリーグ同士の練習試合。オープン戦のように、リーグが異なるから思い切って試せるものは少なくなる。選手にとっては個人成績に残らない試合ではあるが、開幕日が決まれば、この練習試合で見せたものは、全て相手にとって貴重なデータになる。

手の内を隠しつつ、相手の状態を探るような、静かな中にも独特の緊張感がメットライフドームには流れていた。

初回。日本ハムの先頭西川が四球で出塁した。西武の先発はルーキー浜屋。ここで西川は不用意にリードを取り、次打者大田に初球を投げる前に、けん制で刺された。日本ハムとすれば、浜屋がどんなタイミングで、どんなけん制をするのか、データが欲しいところ。しかし、あっけなくアウトになり、肝心の情報を何も得られなかった。

2回には西武金子の右前打に対し、右翼大田が捕球してからステップを踏んで二塁へゆっくり返球した。結果、金子は難なくスタンディングダブル。この場面、大田は捕球からノーステップで二塁に強い返球を見せなければいけなかった。西武に俊敏な返球があるところを見せれば、今後走者は警戒してくる。ここでは西武に、その警戒感を植えつけておきたかった。

緊張感があるようで、公式戦の空気感とは明らかに違う。その中で一定のテンションを保つのは非常に難しい。それでも、この何とも言えない状況下で、相手チームから得られる情報も、相手に悟られてしまうデータも、公式戦10勝分の価値に相当することは、肝に銘じて戦わなければならない。(日刊スポーツ評論家)