2位の巨人と3位のヤクルトが、後半戦に入って初めて対戦した。ここまでのヤクルトは、巨人戦に4勝7敗1分で、首位の阪神にも3勝10敗2分。逆転優勝を狙うには、どうしても大きく負け越している上位チームの対戦をなんとかしないといけない。そういう意味で、今試合の勝ちは「後半戦は違うぞ」と見せられたと思う。
何が違うか? と聞かれれば、真っ先に「山田」の名前を挙げたい。活躍して当たり前の選手ではあるが、前半戦の山田は攻守にわたって淡泊なプレーが目についていた。特に本来、持っている力量を知っているだけに、近年の成績は物足りなく感じていた。
同点からの決勝ソロは、真ん中やや低めのフォークを打ったもの。このホームランは、山田の実力を考えれば「打って当たり前」かもしれない。しかし、2打席目には、前半戦にあまり見られなかった内容があった。3回裏2死、カウント2-2からの5球目、外角の真っすぐに対し、おっつけ気味のファウルを打った。おそらく変化球をケアしていたから真っすぐに対してこのようなスイングになったのだと思う。1球、ファウルを挟んだ後も、同じようなファウルがあった。
前半戦の山田は追い込まれていても、真っすぐに狙いを定めていた。変化球に対しては対応できる範囲でしか対応しないタイプだった。今試合までの成績を見ても、25本塁打ながら打率は2割7分3厘。主力打者として悪い数字ではないが、得点圏打率は2割2分6厘。山田の実力から考えれば、物足りない数字だろう。しかし、変化球が来そうなカウントで変化球を意識した打撃スタイルでいけば、しぶとい打撃はできる。変化球を待っても真っすぐをファウルで逃げられる技術も持っている。
侍ジャパンでもMVPを獲得し、金メダルに貢献。そのときと同じスタイルで、後半戦も戦えている。大舞台での活躍で、何かをつかんだのかもしれない。もともとの素質は文句なしだけに、このままの姿勢でプレーできれば、チームの逆転優勝の可能性も大きくなるし、何よりも本人の野球生命が長くなるだろう。
順調に成長している村上とともに、山田が本来の力を発揮すれば、打線の破壊力はセ・リーグNO・1。首位阪神、2位巨人とも互角の戦いもできる。優勝争いが、楽しみになってきた。(日刊スポーツ評論家)




