阪神が必死に持ち込んだ引き分けは、この試合8人目、1軍復帰したばかりの岩崎が最後のとりでになった。

梨田 12回表の攻撃で得点が入らず、同点のままその裏送り出されるストッパー役にとって、セーブがつかない、負けか、引き分けしかない登板は、もっともつらいマウンドといえる。それでも岩崎の状態は良くなかった。球質もそうだったし、四死球を与えた制球力も含めて、すべての球種に言えることだった。それでもなんとか無失点に抑えた。今の感じではこれから3連投など難しいだろうし、うまくベンチが休ませながら起用すべきだ。

再三のチャンスをつぶした場面で目立ったのは、6回の糸井の走塁死。2死二塁。代打梅野のセンターに抜けそうな打球を菊池涼が芝生部分に入って止め、その流れで三塁に送球した。オーバーランしていた糸井は三塁に戻りきれず刺された。

梨田 あれが抜けていればホームに突っ込んだわけで難しい判断ではあった。でも阪神サイドは二塁を守っているのが菊池だという事実を、一瞬でも忘れていたのかもしれない。二塁走者としてスタートを切った糸井はホームをとるつもりで走っている。あそこは藤本三塁コーチがもっと大きく、明確なジェスチャーで制止すべきだった。一、三塁になっていれば展開は変わっていたかもしれない。

広島には9敗2分けだが、大敗は2試合だけで、競り負けが目立っている(1点差5試合、2点差1試合、3点差1試合)。

梨田 これだけ苦手意識の強いチームを作ってしまうと3位以内に入っていくのは難しくなる。12回に二塁打を打った大山の調子は悪くないが、それまでに1本ヒットが出ていればというところだった。前日(22日)も、この夜も、勝てるゲームだ。ブルペンがそろっているだけに、工夫をしながら点に結びつけたい。【取材・構成=寺尾博和編集委員】