1点を勝ち越した阪神は、その前のお膳立てに値打ちがあった。8回1死一塁。木浪のゴロがサード村上のグラブをかすめたことで、打球の方向が変わって、ショート長岡の横をすり抜け、左前にトボトボと転がった。
真弓 木浪の打球で一塁走者・小幡が三塁に進んだ走塁は、目の前に打球の行方が見えていたからできたという見方もあるが、わたしはそうは思わない。打球の性質を考えると、ボールが転がっていくスピード、左翼手の浜田がチャージしてくる速さをはかるのは難しかった。仮に二塁でストップしても批判されることはない。最初から前を狙う強い意識がなければ、踏み切ることができなかった。
1死二、三塁。代打糸原の遊ゴロで、長岡の本塁送球が一塁側にそれ、三塁走者の小幡が捕手内山のタッチをかいくぐった。
真弓 小幡が三進したことで得点につながった。代走の役割を果たした好走塁だ。ただし、苦しい展開を強いられたのは、先発サイスニードを打ちあぐねたから。真っすぐに押し込まれていたのは、前日の石川の速くない球を打ってきたからか、その残像を引きずっているかのようだった。
10日のヤクルト戦は石川に6回途中まで無得点に抑えられた。
真弓 石川に対した各打者はポイントをボール1個分、あるいは半個分ぐらいポイントを近くしようとボールを引きつける意識で臨んだはず。一夜明けのこの日はサイスニードの速い球に、石川に対したのと同じように打っているから“受けて”しまっているかのようだった。自分が打てるポイントに戻す作業が必要だった。長いシーズンはいろんなタイプの投手と対戦する。今後勝っていくには対応力が求められるということだろう。【取材・構成=寺尾博和編集委員】




