阪神が敵地神宮で3連勝を決めた。ヤクルト石川雅規投手(43)が先発時は21年から5連敗中だったが、ベテラン左腕から序盤に3得点を奪い、負の記録を止めた。
これで直近11戦は10勝1敗。貯金は今季最多の12となった。日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(53)が解説した。
◇ ◇ ◇
阪神が交流戦を前にした6連戦の“頭”に快勝した。3番ノイジーが4号3ランを含む5打点を稼いだが、その助っ人に回したお膳立てがヤクルトにプレッシャーを与えた。
桧山 特に近本の働きは大きかった。先手をとった3回は1死二塁から四球でつなぎ、中野、ノイジー、大山の3連打を呼び込んだ。阪神はリリーフ陣がそろっているから、相手チームにしてみれば、後手に回ると、早めの代打起用、中継ぎを繰り出さざるを得なくなって焦りが生じる。先に点をとっていけば優位にゲーム運びができる。
今シーズンの阪神が先取点をとった試合は、これで「20勝4敗1分け」という驚異の勝率だ。近本の出塁率は宮崎(DeNA)に次ぐ4割2分2厘で2位につけている。
桧山 近本は1点差に追い上げられた直後の7回もヤクルト・エスピナルに2ストライクをとられた後から四球で出塁した。近本はタイミングが合えば何でもかんでも打ちにいった昨年と違って、慌てずに自分が打てる球を待っている。ヒットでも四球でも、とにかく出塁するという気持ちで、1番の仕事に徹しているようだ。続く中野もつなぎ役を果たしている。7回も近本、中野の連続四球から、ノイジーの中越え本塁打で突き放したのは理想的だった。
ただこれで楽に逃げ切るのかと思いきや、9回に抑えに出たK・ケラーが1点を返される期待外れだ。
桧山 最後を締めた今年の岩崎はストレートのキレが戻っているから安定している。湯浅が離脱してもそこは心強い。交流戦に弾みをつけて入っていきたい。
【取材・構成=寺尾博和編集委員】