今年のキャンプ取材はじめての実戦は、日本ハムの紅白戦となった。連続最下位と低迷はしているが、大切なのは実戦でどこまでチャレンジできるか。そういう姿勢を見せられれば、「ああ、試行錯誤しているんだ」と感じ、期待は持てる。
試合前のノックで外野の郡、阪口ともに返球が乱れた。そこでどうするのかと注目していたが、郡はそのまま終わろうとして、周囲の声に促されてやり直して、好送球を見せた。阪口は三塁送球が高投となっても、周囲から「もう一丁」の声は出なかった。
昨年の日本ハムはミスで無駄な失点をして、勝てる試合を落としている。ミスが起きるのは仕方ないにしても、同じことを繰り返さないためにも、その日のうちにすぐに反省し、修正して行けば、ミスを少なくすることはできる。
紅白戦が始まり、新庄監督は初球ストライクという指示を出していた。言うまでもなくストライク先行はバッテリー有利で打ち取る確率が高まる。そういう流れを新庄監督は意識づけようとしていると感じた。
だが、先発金村、左腕根本ともに50%を下回った。キャンプ前半であることを割り引いても、50%以上のストライク率が欲しかった。
その中で2番手で登板した左腕福田は良かった。初球ストライク率は100%。ボールも走っており、この日のピッチングを参考にするなら、左腕が豊富なチームの中にあって、十分に食い込む力は備えている。
新外国人マーフィーも光るものがあった。カーブがいい。それも右バッターの内角にしっかり制球されており、このカーブには本人も手応えをつかんでいるのではないか。
さらに、クイックの完成度が高い。平均1秒20前後で十分に速さを出している。プロ野球で外国人投手が順応できるかどうか、その試金石のひとつがクイックにある。マーフィーはクイックの質、カーブという強みがあるのは、これも好材料だ。
試行錯誤の観点からさらに指摘すると、走塁での判断に甘さがあった。二塁走者が、変化球でスキをうかがおうとリードしたが、捕手伏見が確実に止めた。少しでもはじけば三塁を、と狙う気持ちはわかるが、帰塁できずに刺された。
これこそ、実戦の中でしか培えない判断力で、きっちり止められた時、ギリギリで戻れるリードを、この失敗からつかんでほしい。そうすれば、この走塁死は今後に生きる。
また根本はけん制のサインに対応できなかった。走者二塁でセカンドがベースに入ったが、根本は投げられなかった。飛躍が期待される左腕だけに、すぐにでも修正してほしいチェックポイントだ。
練習ではできても、試合は別だ。タイミングが合わないなど、根本なりの理由はあったはずだから、それはきっちり反省して、同じことを繰り返さない準備は必須だ。
対して捕手進藤の送球は見るべきものがあった。一塁走者は俊足五十幡。0-1から2球目真っすぐで五十幡は好スタート。捕手からすれば、焦りが出やすい場面で、進藤はミットでボールを迎えに行かず、しっかりボールをひきつけてから、二塁にピンポイント送球でアウトにした。
捕球から送球までの動き、肩の強さ、そして内野手がタッチするには理想的な送球の正確性、すべてに至って非常に質が高かった。進藤はバッティングでも走者を置いた場面で、あと一歩で本塁打かという惜しい打球を放っている。これは、ルーキー捕手の開幕スタメンという離れ業も夢ではない。とても楽しみだ。
最後に外国人野手だが、レイエスはフリーバッティングではボールをひきつけて鋭い当たりを連発していた。飛距離もある。それでいて、試合では追い込まれたあと右方向へヒットを放ち、状況に応じたバッティングも披露。続く2打席目も追い込まれてから四球を選び、選球眼の良さも感じさせた。
スティーブンソンはラインドライブが特徴のバッター。こちらもミートの正確性もあり、広角に打てる穴の少ないバッターという印象だ。
シートノックから始まり、紅白戦を見て、気が付けば反省点、新戦力への期待感など、リポートすべきことがどんどん出てきた。それは、チームの共通認識のベースに、試行錯誤しながら高めて行こうというスタンスがあるからだろう。
まずしっかりセンターラインを構築して、昨年のような記憶に残るミスで負ける試合を1つでも減らすことで、活路を見いだしたい。少なくとも、いい悪い含めて、話題にすべき材料がたくさん出てくるということは、前向きな練習、実戦を積んでいるなと感じる。(日刊スポーツ評論家)




