ドジャース山本由伸投手(27)が、執念の連投でリリーフ登板。2回2/3を無失点の好救援で試合を締めて、チームを初のワールドシリーズ(WS)連覇に導いた。日本人選手では2人目の胴上げ投手となり、WS3勝でMVPを受賞。13年に日本人で初めてWSの胴上げ投手となった上原浩治氏(50=日刊スポーツ評論家)が、今シリーズでの山本の投球を分析した。

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言葉にする必要がないほど、両チームが死力を尽くして戦うワールドシリーズらしい素晴らしい試合だった。そして、今シリーズで一番輝いたのは、山本で間違いない。先発で2勝を挙げ、最後はクローザーとして1勝。チームの4勝のうち、1人で3勝を挙げているのだから、これ以上の活躍はないと言っていいほどの内容だ。

本人がメジャーのピッチングスタイルをどう考えていたのかは分からない。ここ数年、メジャーでは高めにフォーシームを投げ、同じ軌道から変化球を曲げる、落とすといったピッチングスタイルが主流だった。特に山本のフォーシームは浮き上がるような球質で、メジャーのスタイルにマッチするように思う人は多かっただろう。しかし、山本は低めに制球する日本式のスタイルで結果を出した。

このスタイルを支えているのが、ずばぬけた制球力だ。高めのフォーシームを軸にするピッチングは、そこから変化させてもストライクゾーンで勝負できるメリットがある。一方で、高めは長打を打たれやすいし、変化球もストライクゾーン内ならば対応しやすくなる。球数を減らすため、常にストライクゾーンで勝負するパワーピッチャーにはいいが、打者をより高い確率で打ち取るための方法は少し違うと思う。

低めのストライクゾーンに真っすぐを投げるコントロールがあれば、そこから曲げたり落としたりする変化球はボールゾーンにいく。見逃されればボールだが、ボール球は打たれにくい。空振りを狙えるし、バットに当てられても長打にはなりにくい。中途半端な球威なら見極められてしまうが、山本の真っすぐは質もいいし球威もある。その真っすぐを正確に低めに投げる制球力があるから、変化球は見極めづらくなり、ボールゾーンに投げても球数を少なく抑えられる。

もちろん、能力がなければ簡単にマネできない。しかし、この山本のピッチングスタイルは今後、理想のスタイルとして目指す投手が増えていくと思う。

二刀流で世界の度肝を抜いた大谷とともに、山本は日本流のピッチングスタイルでチームをメジャーの頂点に導いた。2人の活躍には及ばないが、佐々木の存在もなければ、ドジャースの快進撃はなかった。3人の日本人が日本球界のレベルの高さを証明し、誇らしく思える。(日刊スポーツ評論家)

◆日本人投手の世界一胴上げ 山本は日本人投手で13年上原(レッドソックス)以来2人目のワールドシリーズ胴上げ投手。上原は守護神として活躍した13年、カージナルスとのシリーズ第6戦(フェンウェイパーク)で6-1とリードした9回表に4番手で登板。左飛、左飛、空振り三振の3者凡退で本拠地95年ぶりの世界一を決めた。同年メジャー最後の1球は宝刀フォークで空振り三振。捕手ロスに飛びつき、人さし指を突き上げた。

【イラスト】山本由伸のポストシーズン成績
【イラスト】山本由伸のポストシーズン成績