阪神にとって、この1勝はただの1勝ではないかもしれません。1点を追う9回裏に4番・佐藤選手、5番・大山選手の連続アーチで逆転サヨナラ勝ちを決めた展開は劇的でした。ただ、個人的には1点ビハインドの状態で7、8、9回に投入された及川投手、湯浅投手、桐敷投手の粘投をたたえたくなりました。
リーグ優勝した23年と昨季を思い返せば、阪神には「負けている状態でも中継ぎがなんとか無失点で踏ん張って最後に逆転する」というパターンが多く見られました。今季はリリーフエースの石井投手が離脱したこともあって、特に前半戦は近年では珍しく盤石とはいえないブルペンの状態が続いていましたが、ここにきて救援投手たちの防御率は良化しています。ドリス投手、岩崎投手、木下投手、工藤投手の4人が勝ちパターンに定着して、役割分担がはっきりしたことで、ほかの投手も含めてブルペン全体が準備をしやすい状況になったのも大きいのでしょう。
この日リレーした及川投手、湯浅投手、桐敷投手の3人は優勝を経験しているメンバーでもあります。不調やケガで苦しんでいた実績組が徐々に本来の状態を取り戻しつつある事実も、頼もしい限りです。
言うまでもなく、阪神打線はリーグ屈指の迫力を誇ります。相手バッテリーはたとえリードしていても僅差(きんさ)であれば、「1発打たれたら…」というプレッシャーのもとで投げ続けなければなりません。この日の9回裏も1人でも走者を出せば本塁打で逆転サヨナラとなるわけで、4番・佐藤選手も簡単に歩かせられない状況にありました。このような重圧をかけられたのは、中継ぎ陣の踏ん張りのおかげです。勝負のシーズン終盤に向けて、いよいよ強いタイガースの勝ち方が戻ってきました。(日刊スポーツ評論家)




