ソフトバンク川瀬晃内野手(20)について、以前から気になっていたことがあった。昨年の自主トレ時の写真で、人気アニメ「物語シリーズ」のキャラクター「忍野忍(おしの・しのぶ)」のイラスト入りシャツを着ている姿を見たからだ。もしかしたら、アニメ好きなのかもしれないと期待し川瀬に聞いてみた。

 川瀬 有名なキャラクターなんですか!? 知りませんでした。一緒に自主トレしていた曽根さんたちがゲームセンターで取ったので、面白がって着させられていたんです…(笑い)。

 残念ながら川瀬はアニメ好きではなかったが、謎が解けてスッキリしていると、隣で聞いていた育成選手の幸山が補足してくれた。「忍ちゃんじゃないですか! キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(同キャラのフルネーム)。吸血鬼ですね。ぼくは戦場ケ原さん推しですけどね」。

 そんな川瀬は今季のオープン戦途中から、最後まで1軍に同行。吸血鬼である忍のように周りから吸収し、充実の時間を過ごした。「がむしゃらにやっていたら、最後までいさせてもらえた。いい経験になりました。以前より、打席に入るときの視野が広がり周りが見られるようになりました。松田さんなど、他の方がベンチで話したりされていることを聞いて『こういう考え方もあるのか』と思って、打席の中での待ち方とか、できる部分は取り入れています」。実際に、今季はウエスタン・リーグで打率3割3分3厘と好調(1日時点)。小川2軍監督も「戻ってきたら、よく働くんだよ」と評価していた。

 オープン戦期間中には練習中の打球が頭部に当たりヒヤリとさせたが、翌日からケロリとした顔で試合に出ていた。線の細い体からすれば意外な“不死身”ぶりも吸血鬼と重なる? 幼い外見だが強烈な力を秘めた忍のように、スケールの大きな選手に成長してくれそうな予感が漂っている。【ソフトバンク担当 山本大地】