屈辱の光景だっただろう。9月26日、マツダスタジアム。ヤクルトはマジック1の広島に0-10と完敗し、目の前で3連覇を決められた。山田哲が空振り三振を喫して試合の幕が下りると、スタンドを埋め尽くす広島ファンから割れんばかりの大歓声がわき起こった。
通常、試合終了直後に指揮官の囲み取材が行われる。負けた時はハイタッチなどをしないため、試合が終われば、ほどなくして小川監督が報道陣の前に現れるのが通常だ。それでも相手の優勝が決まったこの日だけは、すぐに来ないだろうと思っていた。この悔しい光景を目に焼き付けるのだろうと勝手に思っていた。
だが、普段と変わらない光景が待っていた。終了後、首脳陣や選手はすぐにロッカー室へと引き揚げてきた。三塁側ベンチから、広島の胴上げを見ることはなかった。
悔しすぎるから、見なかった。青木は「マジック1だし覚悟していたこともあった。でも優勝を目指していたし負けは悔しい」と素直な思いを口にし、こう続けた。「ここでもう1回、広島とやれるように」。クライマックスシリーズという制度が導入されたことで、優勝を逃しても日本シリーズの出場権を獲得するチャンスはある。戦いは、まだ続く。胴上げを見ることよりも、ヤクルトナインは翌日の試合に向けて気持ちを切り替えていた。
その思いは、選手だけではない。小川監督も「胴上げを見ても見なくても、悔しいものは悔しいよ」と、勝負師の顔を見せた。優勝を決められた直後、首脳陣には「自分たちのできることをしっかりしていこう」と呼びかけた。辛酸をなめさせられたマツダスタジアムにもう1度戻ってくるため、まずは2位を確かなものにする。【ヤクルト担当 浜本卓也】





