納会で来季に向けて5つの考えを話す矢野燿大監督(2018年11月21日撮影)
納会で来季に向けて5つの考えを話す矢野燿大監督(2018年11月21日撮影)

最近、YouTubeで示唆に富んだ動画を見た。台の上に32個のメトロノームが置いてある。最初は好き勝手に動いていたのに、時間がたつと同じリズムを刻み、やがて同じ向きに針が振れる。「共鳴」という現象だという。個々のメトロノームの振動が同調して周囲のメトロノームに影響を与え、共振していく。なかなか面白いので興味のある人は見てみてください。

なぜ、こんなことが起こるのか。すべてのメトロノームは同じ台の上で動き、細かい揺れが台を通じて伝わり、振動が整えられていく。つまり、メトロノームが場を共有することで共鳴し合う。コレ、人間が共感し合う組織のしくみにも当てはまるという。個々は思いを共有することで、シンクロし、組織としてまとまっていく。余談が長くなったが、新生矢野阪神も強固な組織づくりを継続する。

新指揮官を約2カ月追った。「共有できる場」を整えていくのがリーダーの役割だろう。その意味では矢野燿大監督は素早く先手を打った。ちょうど1カ月前だ。11月下旬の球団納会であいさつ。「僕が監督になって、このように皆さんの前で話をさせてもらうのは初めての機会」と第一声を発し「僕のやりたい野球、目指す野球を説明させてもらいたいと思います。僕は『ファンを喜ばせたい』を一番に掲げています…」と続けて、喜怒哀楽を出すなど5大方針を打ち立てた。

そうは言っても、指揮官が一丸を呼びかければまとまる単純なモノではない。プロ野球は道を究めた猛者だけが集まる個性の集団だ。何人もの監督が「勝ったら自然とまとまっていく」と話したように、勝ち進むことでしか、本当に結束できない。若手、中堅、ベテラン、外国人ら多士済々だ。無数のメトロノームが披露したような壮観な光景は生まれるか。19年もリーダーが指し示す言動、ナインの動きを見守っていきたい。【阪神担当 酒井俊作】