マリナーズ・イチローの引退発表後、関係した選手のエピソードを通じ、イチローを“初取材”した。

各選手から出たのは、異なる最上級の言葉の数々だった。マリナーズでチームメートだった巨人岩隈が「生きる伝説」と言えば、第2回WBCで戦った巨人阿部は「異次元の人」と表現。イチローを語る選手の表情は野球少年に戻ったようで、第2回WBCで戦った巨人村田コーチは「プロの選手が憧れるという異質の存在」と言った。

引退会見で自身を「人望がない」と自虐ネタで笑わせたが、選手の話から触れるイチローは人間味あふれる気づかいの男だった。第2回WBCで戦った西武内海は初対面の瞬間を鮮明に記憶する。「初めまして、内海です」とあいさつしたが、すでに知ってくれていたそうで、感激した。プレーシーズンゲームで対戦した巨人坂本勇は出身地・兵庫の話題で盛り上がって、巨人中島は「巨人はどう?」と声を掛けられ、エールを送られた。

「孤高の男」のイメージも覆った。村田コーチは「おいっす~」のあいさつに驚いた。「イチローさんも、こんなこと言うんだと思った」と笑った。坂本勇も初対面だった12年プレシーズンゲームで「おいっす~」とあいさつを返され、感動した1人だった。第1回WBCでともに戦った元ロッテ藤田宗一氏は「明るくて、結構しゃべるなと。イメージと全然違った」と人柄を表した。

野球人の一面にも触れた。「準備の方」と語った村田コーチは陰で黙々とバットを振る姿を胸に刻み、岩隈は「野球に対し、常に行動している方。結果を出すために分刻みで動いているくらい、プロフェッショナル」と話した。藤田氏は「米国戦のミーティングで『1打席目に本塁打を打ちます』と言って、有言実行で打った時は衝撃を受けた」と伝説を披露した。阿部は「すごいとしか言いようがない」と話したが、間接的に触れたイチローは確かにすごかった。【巨人担当 久保賢吾】