<ヤクルト2-7巨人>◇24日◇神宮

後輩へ叫んだ声がはね返ってきた気がした。東海大菅生3年の11月、高橋は後輩の秋季東京大会決勝の応援に行った。序盤、スタンドから「和貴! 俺の帽子を見ろ!」と、失策してうつむく1学年下の小磯和貴さんへ声を張り上げた。この日、寮を出発する際に「これをかぶって行けよ」と3年間をともにした帽子を手渡した。つばには「自分を信じろ」と記した。

その試合で、小磯さんは二松学舎大付の1年生エースで大江(現巨人)から2安打をマークした。チームも逆転勝ちでセンバツ切符をつかんだ。高橋は野球人生で1度も全国大会には出られなかった。「チャンスを全部つかめたらいいですけど、それは限りなく難しい。でも、はなから諦めるのか、最後まで食らいつくのかで差が出ると思う」。中学から大学まで同じチームだった後輩へ届けた青春時代のメッセージを今でも胸にとどめている。【桑原幹久】