野球界が「eスポーツ」の1つの姿を提示した。「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」が18日、東京ビッグサイトTFTホールで始まった。

喜ぶ顔も、悔しがる顔も次々と映し出された。4人1チームで12球団のユニホームを背負った。1017人の観衆に囲まれ、円形のステージで最高峰の技術を披露。熱戦を終えた後は握手を交わして健闘をたたえる。「eスポーツマンシップ」がそこにはあった。

eスポーツ大会はオンラインで開催されることが多い。真剣勝負で高ぶり、相手を挑発する言葉が出ることもある。ネットを介すため顔は非公表、ニックネームでの戦いは当然。そこが良さでもあるが、無責任さがにじむのは否めない。

そんな中、NPB主催の今大会は真っすぐな熱気がある。選手全員の顔が見えるのだ。ヤクルト代表のはんじょう選手もその1人。人気ユーチューバーでチャンネル登録者数は13万人超え。顔出しをしていなかったが、解禁。自らをさらすことはデメリットを生む可能性もある。それでも「やっぱり球団を背負う責任がある。最初は顔出しの戸惑いはあったけど、スプラが盛り上がれば、みんなプラスになる」と説明する。

子どもたちのバイブル「コロコロコミック」(小学館)が7日にネットで公開した「どのような職業に興味がありますか?」というアンケートで、1位はユーチューバー、2位プロゲーマー、3位ゲーム実況者。プロ野球選手は12位だった。昭和生まれが思う以上に、ゲーム関連、動画配信者への憧れは低年齢層で高まっている。現実を受け止め、引きつけてやまない魅力を認めなくてはいけない。

ゲーマーが野球選手同様に堂々と戦う。今大会は1月のスプラトゥーン甲子園同様に報酬はなく、日本一の名誉を目指すだけ。優勝賞金額が注目を集めるeスポーツ界で、スプラトゥーンとNPBが純な楽しみ方をみせている。【島根純】

人気ユーチューバーのヤクルトはんじょう(撮影・島根純)
人気ユーチューバーのヤクルトはんじょう(撮影・島根純)