<楽天5-1ソフトバンク>◇19日◇楽天生命パーク

パ・リーグ41年ぶりとなる大記録はならなかった。同時にソフトバンクにとって最大の屈辱も回避された。敵地・仙台での楽天戦。先発美馬の前に8回までパーフェクトに封じ込まれた。打者24人。もちろん、ヒットも四球も失策もない。残り1イニング。記者席もざわついたが、9回先頭の明石がカウント3-2から四球を選び「完全試合」はなくなった。続く代打栗原が左前に運び「ノーヒットノーラン」も消え、終わってみれば1失点完投。やはり「完全試合」とは、そうたやすくできるものではない。

41年前にパ・リーグで完全試合をやったのは阪急の今井雄太郎投手だった。78年8月31日のロッテ戦。この日と同じ仙台の宮城球場(現楽天生命パーク)だった。「完全試合? できるはずないと思っていたからね。イニングが進んでも気にしてなかったなあ。あー達成したんだ、と思ったのは最後の打者をピッチャーゴロに打ち取ったときさ。当時の阪急はバック(守備陣)もすばらしかったしね」。今井氏は遠い昔の快挙を振り返ってくれた。美馬が8回までパーフェクト投球を演じたことを伝えると「うーん、やっぱり意識したんだろうね。惜しかったね」と緊張のマウンドをおもんぱかっていた。

現役時代、雄ちゃんの愛称で親しまれた今井氏はメガネがトレードマークでもあった。顔に似合わず? 小心さからブルペンでビールをひっかけマウンドに上がったこともある。だが、完全試合を達成した日は残暑が残るマウンドということもあって、登板前日から水分を控えていたという。「汗をかきすぎるとメガネが曇って投げにくくなるから」。まあ、今井氏なりの「準備」は怠らなかったのだろう。

それにしても、ホークスはこれで5連敗。必勝の「準備」は怠るわけにはいかない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】